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ソリダゴさび病(新称)の病原菌と夏胞子発芽温度


[要約]
ソリダゴさび病(新称)の病原菌はColeosporium solidaginis Thum.exArth.である。さび病菌の夏胞子は摂氏15〜25度で良く発芽するが、摂氏10度以下または摂氏27.5度以上では急激に発芽率が低下する。

[キーワード]
ソリダゴ、さび病、Coleosporium solidaginis、夏胞子、発芽温度

[担当]
鹿農試大島・病害虫研究室

[連絡先]電話0997-52-3545	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
ソリダゴは、1991年以降、沖永良部島や与論島を中心に盛んに栽培されている。しかし、葉や茎にさび症状を示す病害が発生し、商品性を損ねるため大きな問題となっている。そこで、さび症状の原因究明のために病原菌の同定と夏胞子の発芽温度を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. ソリダゴに発生するさび症状は、葉の表裏、葉柄、茎に発病し、始めは黄色い微小斑で、次第に病斑が裂開し中から黄色〜オレンジ色の夏胞子を多数形成する(図1-左)。病斑は葉裏の方が多く、葉表は黄色い小斑で止まる場合が多いが、葉表の病斑上にも夏胞子が認められる場合もある。激しく発病すると葉は枯死する。

  2. 本菌の夏胞子は鎖状に形成され、長円形〜倒卵形、または洋梨型で表面に多数の突起を有し、成熟した夏胞子は黄色〜オレンジ色で、大きさは25-33×18-24μmであった(表1図1-右)。これらの特徴から本菌はColeosporium属菌と考えられる。

  3. 本菌は、同属のセイタカアワダチソウに病原性を示すが、スプレーキクには病原性を示さない。

  4. 本菌は、セイタカアワダチソウさび病菌と夏胞子の形態的特徴が一致し、セイタカアワダチソウに病原性を示すことから、セイタカアワダチソウさび病菌(Coleosporium solidaginis Thum.exArth.)であると同定する。

  5. 本菌は、ほ場周辺雑草のセイタカアワダチソウにさび病が発生すると伝染源になる。

  6. 本菌の夏胞子を素寒天平板培地上で4時間静置した胞子発芽調査では、摂氏15〜25度の範囲では50%以上の発芽率を示し、摂氏25度では83%と最も高い発芽率を示した。摂氏10度以下および摂氏27.5度以上では急激に発芽率が低下し、摂氏5度と摂氏30度では全く発芽しない(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 夏胞子は高温で発芽しないため夏季には発病が少ないが、夏季の育苗は寒冷紗被覆下で行われるため、育苗中に発病が見られる場合がある。

[具体的データ]

表1 ソリダゴさび病菌の夏胞子の形態的特徴


図1 ソリダゴに発生したさび病の症状と病原菌


図2 ソリダコに発生するさび病の夏胞子発芽に及ぼす温度の影響

[その他]
研究課題名:奄美地域における花き病害虫の効率的防除体系の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2001年度


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