鹿児島県におけるカンキツグリーニング病の初発生
- [要約]
- カンキツグリーニング病は、鹿児島県では大島郡与論町において2002年4月4日に発生が初めて確認された。
- [キーワード]
- カンキツ、グリーニング病、与論町
- [担当]
- 鹿児島果樹試・病虫研究室
[連絡先]0994-32-0179
[区分]九州沖縄農業・病害虫、果樹
[分類]行政・参考
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[背景・ねらい]
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カンキツグリーニング病は、国内では沖縄県で1988年に初めて発生が確認され、1997年8月に沖縄県からの果実を除くカンキツ類及びミカンキジラミの移動規制措置が取られ、現在に至っている。しかし、鹿児島県最南端の与論島は、沖縄本島北部と直線距離で洋上をわずか28[km]隔てているだけで、本病の侵入が危惧されていた。
そこで、2002年3月から6月に、与論島内の庭先カンキツを中心に257地点の2,850本について、本病の肉眼診断とPCR検定を実施した。
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[成果の内容・特徴]
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カンキツグリーニング病は、鹿児島県では2002年4月4日に大島郡与論町において発生が初めて確認された。
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肉眼診断で罹病が疑われた264本をPCR検定(遺伝子診断)した結果、60本が陽性反応を示し、検定樹の22.7%、全調査樹の2.1%が罹病樹である(表1)。
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罹病樹は30地点で確認され、島内の全域に分布している。特に、南東部では頻度が高い傾向である(表1、図1)。
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罹病樹は、病徴を大津ら(1998)により分類すると、タイプIII及びタイプII+III、タイプIII+Vが多く観察される。
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罹病している品種は、オウトウなど在来種をはじめ、タンカン等多岐に渡り、樹齢は、5年生から50年生以上に及んでいる。
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[成果の活用面・留意点]
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カンキツグリーニング病の分布拡大の一面を明らかにしたもので、行政的措置の基礎資料となる。
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[具体的データ]
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表1 与論町におけるカンキツグリーニング病調査結果(2002年)

図1 与論島におけるカンキツグリーニング病調査地点(2002年)
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[その他]
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研究課題名:優良品種の増殖と種苗伝染性病害の被害防止
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2005年度
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