牛ふんに尿素や油かすを混合した成型堆肥のキャベツ栽培における施用法
- [要約]
- キャベツの初冬出し栽培の基肥として、牛ふんに慣行施肥の基肥窒素相当量の尿素を混合した成型堆肥を施用すると、慣行と同等の生育、収量が得られ、土壌物理性が向上する。牛ふんと菜種油かすを重量比5:1で混合した成型堆肥を基肥として用いる場合は、2t/10a程度を施用する。
- [キーワード]
- キャベツ、牛ふん、尿素、菜種油かす、成型堆肥
- [担当]
- 福岡農総試・化学部・作物栄養研究室
[連絡先]092-924-2939
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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家畜ふん堆肥の流通を促進するため、エクストルーダ型の成型機を利用した成型堆肥の開発が進められているが、モミガラ牛ふん堆肥のみの成型堆肥では窒素の肥効が期待できない(平成13年度成果情報)。そこで、モミガラ牛ふん堆肥に尿素や菜種油かすを混合して窒素の肥効を調整した成型堆肥を製造し、キャベツ栽培の基肥に利用する場合の適正な施用法と土壌理化学性への影響を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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キャベツの初冬出し栽培において、慣行施肥の基肥窒素量15kg/10aを牛ふんに尿素を混合した成型堆肥(原料のモミガラ牛ふんで3t/10aの施用に対し窒素成分で15kg相当の尿素)で施用することにより、追肥時期までの窒素吸収量が少なく収穫最盛期はやや遅れるものの、慣行施肥区と同等の結球重が得られる(表1)。
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牛ふんと菜種油かすを重量比5:1で混合した成型堆肥を基肥として用いるときは、窒素肥効率を50%として施用すると、慣行施肥区に比べて結球重が軽く、収穫最盛期も遅れるため、窒素肥効率を30%として施用する。この場合、施用量は2t/10a程度である(表1)。
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成型堆肥の施用により、慣行施肥(堆肥無施用)に比べ土壌の容積重が減少し、気相率が増大するなど、土壌の物理性が向上する。また、土壌の腐植含量やCECが増加するが、交換性カリの集積が大きくなる(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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キャベツ栽培において成分調整成型堆肥を利用する際の資料として活用できる。
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キャベツ栽培におけるエクストルーダ型成型堆肥(10mm径)の散布にはブロードキャスタが必要である。
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[具体的データ]
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表1 キャベツの生育及び結球重(平成13年)

表2 成型堆肥の2年連用によるキャベツ跡地土壌の理化学性(平成14年1月)
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[その他]
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研究課題名:成分調整成型堆肥の機能高度化と水田転作野菜に対する施用技術
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :1999年〜2001年
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