黒ボク土での夏秋ピーマンのかん水施肥栽培における簡易肥培管理マニュアル
- [要約]
- 黒ボク土での夏秋ピーマンのかん水施肥栽培において、土壌溶液のEC値、葉柄汁中の硝酸態窒素濃度、土壌pF値の管理指標を策定し、適正なかん水施肥を行うための簡易肥培管理マニュアルを作成した。
- [キーワード]
- 黒ボク土、夏秋ピーマン、かん水施肥、土壌溶液、EC、硝酸態窒素、pF
- [担当]
- 大分農技セ・畑地利用部
[連絡先]電話0974-22-0671
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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栽培期間の長い夏秋ピーマンでは、根活力の維持と施肥窒素の肥効を維持させることが重要であり、効率的な施肥と土壌水分の適正管理が求められる。そこで、かん水施肥栽培の普及促進のため、現場段階で利活用できる土壌溶液のEC値、葉柄汁中の硝酸態窒素濃度、土壌pF値の管理指標を策定し、簡易肥培管理マニュアルを作成する。
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[成果の内容・特徴]
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夏秋栽培において、定植後梅雨明けまでpF2.3、梅雨明け後9月上旬までpF2.1、9月上旬以降pF2.3を土壌水分の上限目標値として管理すると、かん水施肥栽培の1日当たりのかん水量は0.5〜4mmの範囲となる(図1)。
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栽培期間中における土壌水分の推移は、慣行栽培は表層、下層共に乾湿の差が大きいのに対して、かん水施肥栽培では概ねpF1.7〜2.2で推移する(図2)。
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栽培初期の土壌溶液のEC値と硝酸態窒素濃度は、それぞれ2.0〜3.0mS/cm、100〜200ppm、栽培中期以降は1.0〜2.0mS/cm、100ppm前後が適正範囲となる。また、栽培期間中における土壌溶液のEC値と硝酸態窒素濃度は、慣行栽培に比べかん水施肥栽培は低く推移する(図3)。
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栽培初期の葉柄汁中の硝酸態窒素濃度は、草勢確保や着果負担の面から1600ppm前後が管理指標となるが、栽培中期以降は概ね1200〜1400ppmが適正値となる。なお、リアルタイム分析の分析間隔は、月2回程度で作物体内の養分状態の推移を把握できる(図4)。
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試験データ蓄積により簡易肥培管理マニュアルを作成した(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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黒ボク土での結果である。
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土壌保水力や気象条件により、1日当たりのかん水施肥量を2〜3回に分けたり、かん水量のみを変更する。
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葉柄汁中の硝酸態窒素の測定部位は、開花展開葉から数えた3〜4葉目の葉柄を採取し搾汁する。
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土壌溶液採取器とテンシオメータ(pFメータ)は、圃場中央部の株間に15〜20cmの深さに設置する。さらに、圃場内の養分状態等必要に応じて圃場対角線上に1〜2ヶ所追加設置する。
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[具体的データ]
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図1 栽培期間中のかん水パターン

図2 株元の土壌水分変化の推移

図3 土壌溶液のEC値と硝酸態窒素濃度の推移

図4 葉柄汁中の硝酸態窒素濃度

表1 夏秋ピーマンのかん水施肥栽培簡易肥培管理マニュアル
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[その他]
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研究課題名:養液栽培などの新生産システムにおける環境負荷低減技術の確立
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :2000〜2003年度
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