水稲「ヒノヒカリ」における被覆尿素を用いた施肥法
- [要約]
- 水稲「ヒノヒカリ」の全量基肥においてシグモイド30日型とシグモイド90日型の被覆尿素肥料を1:1で配合することによりm2当たり穂数は増加し、施肥窒素利用率が高まる。
- [キーワード]
- 水稲、ヒノヒカリ、全量基肥、被覆尿素肥料
- [担当]
- 長崎総農試・環境部・土壌肥料科
[連絡先]電話0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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代かき時の基肥窒素流亡が問題視されているため、分げつ促進をねらった速効性肥料の代替に溶出期間の短い被覆尿素を用い、全量基肥による施肥法を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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シグモイド30日型とシグモイド90日型の被覆尿素肥料を1:1で組み合わせた全量基肥は、硫安とシグモイド90日型を1:1で組み合わせた全量基肥よりもm2当たり穂数が多くなり増収する。また、玄米窒素含有率は慣行と同等である(表1、表2)。
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生育前半用の基肥窒素は、硫安より、緩効性肥料の被覆尿素肥料を使用した方が、施肥窒素利用率は向上する(表3)。
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シグモイド30日型の被覆尿素肥料は、入水後13日頃から溶出を開始し、20日程度で50%、8月初旬の幼穂形成期頃までに90%の溶出が完了し、生育前半の分げつ促進に寄与できる(図1、表4)。
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[成果の活用面・留意点]
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穂数の確保が困難な地力の低い水田の普通期稚苗移植に適用できる。
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被覆尿素肥料の窒素溶出は地温の影響を受けるため湧水等冷水の流入する水田では検討が必要である。
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[具体的データ]
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表1 試験区の構成

表2 収量及び収量構成要素

表3 窒素吸収量及び利用率

表4 生育調査(2000年)

図1 被覆尿素の窒素溶出率の経時変化(2000年)
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[その他]
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研究課題名:水稲栽培における被覆肥料の効率的施用技術確立試験
予算区分 :受託試験
研究期間 :2000〜2003年度
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