黒ボク土での夏秋ピーマンのかん水施肥栽培による尻腐れ果低減効果
- [要約]
- 黒ボク土での夏秋ピーマン「さらら」のかん水施肥栽培は、好適土壌水分値が維持され、尻腐れ果の発生が低減する。また、3〜5割減肥しても慣行栽培に比べ肥効が高く、果実収量は慣行栽培を10〜15%上回る。
- [キーワード]
- 黒ボク土、夏秋ピーマン、さらら、かん水施肥、尻腐れ果、減肥、肥効
- [担当]
- 大分農技セ・畑地利用部
[連絡先]電話0974-22-0671
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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大分県の夏秋ピーマン栽培の主力品種である「さらら」は、従来品種と同等の収量性で果皮緑色が濃く秀品率の割合が高いが、尻腐れ果の発生が多い。そこで、かん水施肥栽培を行うことにより、好適土壌環境を維持し、尻腐れ果発生の低減と安定生産を図る。
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[成果の内容・特徴]
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栽培期間中における土壌水分の推移は、慣行栽培は表層、下層共に乾湿の差がpF1.7〜2.6と大きいのに対して、かん水施肥栽培では概ねpF1.7〜2.2で推移し、根群域がほぼ適水分値に保たれる(図表省略)。
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葉柄汁中のカルシウムイオン濃度は、慣行栽培では栽培中期にかけて濃度低下が大きいが、かん水施肥栽培は栽培期間を通して比較的安定した濃度で推移する(図1)。
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かん水施肥栽培は、慣行栽培に比べ尻腐れ果発生が低く抑えられ、果実品質が向上する。特に収穫初期に顕著な差が見られる(図2)。
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かん水施肥栽培は、慣行栽培に比べ3〜5割減肥しても作物体の窒素吸収量が多く、施肥窒素利用率も40〜60%と高い。また、果実収量も慣行栽培を10〜15%上回る(表1、表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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かん水施肥栽培の肥培管理条件は、簡易肥培管理マニュアルを参考とするが、栽培前の土壌診断により塩基バランスを把握し、肥料組成を変更する。
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黒ボク土での結果である。
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[具体的データ]
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図1 葉柄汁中のCa濃度

図2 尻腐れ果発生率

表1 収量および果実・茎葉の窒素吸収量

表2 収量および果実・茎葉の窒素吸収量
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[その他]
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研究課題名:養液栽培などの新生産システムにおける環境負荷低減技術の確立
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :2000〜2003年度
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