沖縄県宮古地域の耕地土壌の理化学性
- [要約]
- 沖縄県宮古地域では、交換性塩基や可給態リン酸含量が基準値より高い傾向にあり施肥改善が必要である。また、2層目のち密度が高いほ場がみられ、物理性の改善も必要である。
- [キーワード]
- 交換性塩基、可給態リン酸、ち密度、施肥改善
- [担当]
- 沖縄県農業試験場・化学部・土壌保全研究室
[連絡先]電話098-884-9910(土壌保全研究室)
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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昭和54年より実施された定点土壌調査の結果より、沖縄県の耕地土壌では、作土層の深さや可給態リン酸が増加傾向にあり、全炭素や交換性塩基、ち密度等の減少が見られた。平成13年度のモニタリング調査で、沖縄県宮古地域において同様な傾向が見られるか検討した。
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[成果の内容・特徴]
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宮古地域はほとんどが強粘質の暗赤色土で、作土における交換性カリウムは平均で64mg(基準値18〜38mg)と200mgを越す地点もあった。また、交換性カルシウムは平均で611mg(基準値420〜560mg)と高い(表1)。
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地目別にみると普通畑では交換性カリウムが高く、半数の地点で2層目のち密度が山中式硬度計で20mm以上を示し、さらに30mmを示す硬盤層を形成した圃場もみられ排水不良や根の伸長抑制が懸念される(表2、図1)。
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施設栽培では平均3.2t/10aの堆肥投入があり、全炭素含量に反映され他の地目より高い。しかし、交換性カルシウム及び交換性カリウムの含量が高く、塩基バランスの悪化による生育障害が懸念される。また、可給態リン酸が平均値で203mgと高いことから施肥改善が必要である(表2、図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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養分が蓄積傾向にある施設栽培において、施肥改善等の資料とする。
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2層目のち密度が高いほ場があり、耕盤層破砕を目的としたサブソイラー等による物理性の改善が必要である。
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[具体的データ]
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表1 宮古地域の土壌理化学性(平均値)

表2 各地域の地目別土壌理化学性(平均値)

図1 2層目のち密度と地点数

図2 各地域の施設における理化学性
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[その他]
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研究課題名:土壌機能実態モニタリング調査
予算区分 :国庫補助(土壌機能増進対策)
研究期間 :2001年度(1999年〜)
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