春作バレイショの畝立てマルチ同時局所施肥試作機と減肥栽培
- [要約]
- 試作した畝立てマルチ同時局所施肥機は、目標の施肥量を畝面から約15cmの深さに縦横径1〜2cmのすじ状に、2.3h/10aの能率で施肥できる。また、30%程度施肥量を削減しても慣行全層施肥と同等の生育、収量が得られる。
- [キーワード]
- バレイショ、局所施肥機、減肥栽培
- [担当]
- 佐賀上場営農セ・研究部・畑作経営研究室
[連絡先]電話0955-82-1930
[区分]九州沖縄農業・農業機械・土木、畑作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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近年の農業は、環境への負荷の軽減や省力化,低コストが求められている。上場地域の畑作地帯においても肥料の流亡による地下水汚染が懸念されるために、バレイショ栽培において施肥量の削減と施肥作業の省力化を図るため、畝立てマルチ同時局所施肥機の試作を行う。
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[成果の内容・特徴]
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試作機は、畝立て機(MRC9、CB9B、CB3B)、マルチャ(R201BC)、施肥機(PSP20)、駆動モータで構成される(図1)。
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本機は施肥機を12V直流モータで駆動し、肥料は誘導管内を落下して、ロータリと畝整形機の間に位置する吐出口から畝内部にすじ状に施され、畝立て、施肥、マルチ作業が同時に行える(図1)。
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10a当たり作業時間は2.3時間で、慣行の全面全層施肥+畝立て同時マルチ方式の3.2時間より、約3割短縮できる(表1)。
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施肥精度は、目標量より1〜3%増加した程度であり、ほぼ設定どおりの結果が得られる(表2)。
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畝内の肥料は、畝面から約15cmの深さ、縦横1〜2cmのすじ状に分布し、バレイショは施肥位置の直下をねらって植え付ける(図2)。
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試作機を用いた30%減肥の局所施肥栽培の生育・収量は、慣行全層施肥栽培と同等である(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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栽培方式は、畝立てマルチ後植付け(2月下旬)とし、移植は野菜用半自動移植機を用いる。
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施肥機の開度調節は作業速度を考慮して行う。
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肥料は粒径2〜4mmの粒状肥料とする。
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慣行方式の10a当たり経費と同等になる採算下限面積は約2.0haであり、作業可能限界面積(5.3ha)の10a当たり費用は10,342円で慣行方式の85%になる。
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[具体的データ]
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図1 畝立て同時局所施肥機と植付け作業

表1 試作機方式と慣行方式の作業時間

表2 作業精度

図2 施肥位置

表3 生育と上いも収量
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[その他]
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研究課題名:九州・沖縄における地域特産畑作物産地活性化のための新しい持続的輪間作体系化技術の開発
予算区分 :助成試験(新技術実用化)
研究期間 :2000〜2003年度
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