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沖縄における導入初期段階のイチゴ生産・流通システム


[要約]
沖縄の農家にとって新規作物であるイチゴを導入する場合は、鮮度を最優先した生産・流通システムを採ること及び他作物との競合・栽培技術習得環境の制約等のためなるべく小さな規模(2〜2.5a)から始めることが重要である。

[キーワード]
沖縄、新規作物、イチゴ、流通

[担当]
九州沖縄農研・総合研究部・動向解析研究室、沖縄県農試・経営機械部・経営研究室

[連絡先]電話096-242-7697	
[区分]九州沖縄農業・農業経営	
[分類]行政・参考	

[背景・ねらい]
現在沖縄で流通しているイチゴは主に航空便輸送で、収穫2〜3日目の販売になる。航空便は途中、コールドチェーンが途切れるとともに煩雑な荷物の積み替えによって荷傷みする。このため、販売日数は1日〜2日と棚持ちの悪い商品になっている。しかし、県産なら当日又は2日目販売が可能になり、県外産並の味と外観が確保できれば、鮮度の良い県産イチゴは魅力ある商材になりうる。そこで、沖縄県で栽培可能であることが明らかになったイチゴ(さちのか)を対象に、導入初期段階で求められる生産・流通システムを策定する。

[成果の内容・特徴]
  1. 県外産のイチゴに対する差別化のため、鮮度を最優先とし、収穫日の午前中に販売開始できるような収穫・調製・出荷方式及び流通システムが必要である。このため、生産地近くの直売所等での販売が中心になる。その際、収穫日・時刻を表示する等鮮度の良さをアピールすることが重要である。

  2. ゴーヤ等他作物との競合、栽培技術習得環境の制約、初期投資の低減等のため、野菜・花き等用のハウスを所持している農家が、なるべく小さな規模(2〜2.5a)から導入することが適当である。

  3. 長期間にわたる育苗、短日夜冷処理作業等の理由により、当面、苗は外部からの購入になる。(以上、図1

  4. 出荷量625kg/2.5a(沖縄県園芸支場)、単価1,073.6円/kg(沖縄県中央卸売市場H10〜14年の月別旬別平均)、購入苗を自家生産苗コスト試算に基づいて単価81.2円、数量1,710株を用いて試算すると、2.5aで出荷額672千円、所得264千円が見込まれる(表1)。

  5. 労働面では、8月中下旬(自家苗生産の場合)、11月上下旬(定植)、12月下旬(最初の収穫)に作業のピークが見られ、旬別労働時間は20hr/2.5a近くになる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. ミカンキイロアザミウマ(キクえそ病を媒介)の侵入を防ぐため、県内苗供給体制の確立が必須の前提条件である。

  2. 総コストに占める自家労賃の割合が高く(約43%)、更なる栽培技術の省力化の検討が必要である。

[具体的データ]

図1 2〜2.5a数戸段階の栽培・流通システムイメージ


表1 2.5aのときの収益性試算


図2 2.5aのときの月別旬別労働時間

[その他]
研究課題名:高収益集約作物の流通システムの策定
課題ID:07-01-02-*-01-02
予算区分 :亜熱帯野菜・花き
研究期間 :2000〜2002年度


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