Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成14年度目次

アジを原料とした魚醤油の製造法


[要約]
原料部位別のアジ魚醤油を製造するにあたり、12週間の熟成期間を見込めば、ホール(魚体全部分)・アラ(頭・内臓部分)ともAspergillu soryzae由来のプロテアーゼ0.1%添加で十分である。また、フィルタープレスをろ過工程に用いると効率的にろ過・清澄化ができる。

[キーワード]
魚醤油、プロテアーゼ、フィルタープレス

[担当]
大分加工セ・研究指導部

[連絡先]電話0974-22-7050	
[区分]九州沖縄農業・流通加工	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
アジなどの多獲性魚類は、一夜干しやすり身の加工原料として利用されているが、アラ部分(頭、内臓)やより小型の魚体などは、大量に廃棄されているのが現状である。これらは鮮度の高いものも多く、加工法の工夫により食糧資源としての活用が期待できる。そこで酵素剤の利用により、短期熟成型で旨味に富んだ高品質魚醤油を開発し、実用規模での製造技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 熟成12週目において、原料にアジのホール(魚体全部分)を用いた区は、アラ(頭・内臓部分)を用いた区に比較して全窒素量、ホルモール態窒素量、遊離アミノ酸総量、グルタミン酸量およびペプチド量が約8〜32%多い。(表1

  2. 熟成12週目において、酵素A(Aspergillu soryzae起源、至適pH:4.5、至適温度50℃)を用いた区は、酵素B(Aspergillus melleus起源、至適pH:8.0、至適温度摂氏45度)を用いた区に比較して遊離アミノ酸総量とグルタミン酸量が約12%多い。(表1

  3. 酵素量0.1%添加区の分解率は、熟成期間が進むにつれて酵素量0.2%添加区の値に近づき、12週目でほぼ同程度となる。(図1表1

    ※分解率:火入れ後のもろみをメスシリンダー等に入れて静置すると、上層にオリ部分、下層に液体部分へと分離する。この現象を利用し、全体量に占める液体部分の割合を%で示したもの。

  4. 魚醤油のもろみは、大豆を主原料とした醤油のもろみに比較して粘性が高くオリが多いという特性を持つが、火入れ後、フィルタープレスと自然ろ過を組み合わせたろ過を行うで効率的に清澄化が可能である。(図2表2

[成果の活用面・留意点]
  1. 上記で示したろ過方法は、醤油麹を用いた魚醤油には不適である。醤油麹を用いた魚醤油の場合は、もろみの粘性がさらに高くなり分離が不十分になりやすい。

[具体的データ]

表1 アジを原料とした魚醤油の製造条件と製品の品質


図1 分解率の経時的推移


図2 ろ過試験フローチャート


表2 ろ過前後における透過率の比較(%)

[その他]
研究課題名:多獲性魚類を原料とした天然調味料の開発
予算区分 :国補(フードシステム連携強化・循環推進事業)
研究期間 :2001年度


目次へ戻る