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ニガウリの貯蔵特性


[要約]
ニガウリ"群星"は収穫後も摂氏10度以上では後熟し、交配後の積算温日度が摂氏650度前後に達すると黄化が発生する。摂氏10度未満では低温障害の発生が顕著であるが、完熟に近い程、重量減少率が低く、低温障害にも強い傾向が見られる。

[キーワード]
ニガウリ、貯蔵、熟度、積算温日度、黄化、過熟

[担当]
沖縄県農業試験場・化学部・流通加工研究室、土壌微生物肥料研究室

[連絡先]電話098-884-9911	
[区分]九州沖縄農業・流通加工	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
ニガウリの収穫は外観による感覚的な判定によって行われることが多く、このことが熟度の不統一、言い換えれば市場に流通するニガウリの品質のばらつきを産む原因となっている。安定した品質のニガウリを流通させるためには熟度の統一と、貯蔵性の向上が大きな課題である。本成果では、熟度別に分類した果実における、貯蔵温度が後熟に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 摂氏10,15,25度貯蔵区では種子の成熟、胎座部の発達等後熟が確認される。交配後の積算温日度摂氏452度収穫の摂氏25度貯蔵7日目、積算温日度摂氏610度収穫の摂氏15度貯蔵3日目と摂氏25度貯蔵2日目、積算温日度摂氏545度収穫の摂氏20度貯蔵5日目で黄化が発生する。摂氏5度貯蔵区では後熟せず、黄化も発生しない(表1,表3)。

  2. 黄化が確認された各試験区の交配後から貯蔵中の黄化発生までの積算温日度は、いずれも摂氏約630〜660度であり、樹上での黄化開始(交配後の積算温日度摂氏約600〜650度)と同様の傾向を示す(表1,表3)。

  3. 摂氏15度、摂氏25度貯蔵区ではカビが発生する。重量減少率は貯蔵温度に依存して高い値を示し、交配後日数に依存して低い値を示す(表2,表4)。

  4. 摂氏5度貯蔵では各区で艶消失、しわ、いぼ先端の陥没等低温障害が発生する。低温障害の発生は交配後日数が短い程顕著な傾向を示す(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 温度履歴が明確な熟度の揃った果実であれば、貯蔵中の黄化開始時期が予想でき、品質の安定化、効率的な流通につながる。

[具体的データ]

表1 交配後日数が異なるニガウリの貯蔵中の熟度変化


表2 交配後日数が異なるニガウリの貯蔵中の鮮度変化


表3 熟度が異なるニガウリにおける貯蔵中の熟度変化


表4 熟度が異なるニガウリにおける貯蔵中の鮮度変化

[その他]
研究課題名:フィールドアナライザーを用いた圃場でのリアルタイム栄養診断による野菜の環境保全型栽培技術の開発
予算区分 :助成試験
研究期間 :2000〜2002年度


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