トマトの機能性フィルム包装による品質保持効果
- [要約]
- トマトを機能性フィルムで箱包装又は個包装すると、摂氏25度条件下でも着色の進行や重量の減少および酸度と触硬度の低下が抑制される。箱包装では、無包装に比べて3日間程度は商品性を延長できる。
- [キーワード]
- トマト、機能性フィルム、品質保持、MA
- [担当]
- 佐賀県農業試験研究セ・企画流通部・流通利用研究室
[連絡先]電話0952-45-2141
[区分]九州沖縄農業・流通加工、野菜花き
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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トマトは特に気温が高くなる時期の流通時の品質低下が著しいため、収穫を早く終了されており、品質保持技術の確立が望まれている。そのためには、低温管理の効果が大きいが、他の方法として、フィルム包装による品質保持効果を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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微細孔をもつ機能性フィルムで4kg詰め出荷箱全体を包む箱包装及び果実を2個ずつ包む個包装を行うと、フィルム内のガス組成は、両包装ともにO2とCO2は11%前後で安定する(表1)。
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トマトを機能性フィルムで包装すると、着色の進行や重量の減少及び触硬度の低下が抑制される。内容成分ではBrixは変わらないが、酸度の低下が抑制される。また、それらの効果は包装期間を長くできる個包装が箱包装より大きい(図1、表2)。
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個包装では8日目に過湿によりヘタにカビが発生し、商品性がなくなる。一方、箱包装では無包装に比べて3日間程度は商品性を延長できる(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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試験は摂氏25度条件下で行った。また、5反復で試験を行った。
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試験に用いた機能性フィルムは微細孔フィルムであり、ガス透過量を調節(23,900mL/m2・日)し、MA効果を持たせる。
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包装は収穫翌日に行い、箱包装は収穫後5日目に個包装は分析時に開封した。
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この方法は、気温が高くなり、着色が進みやすい時期の品質保持に効果がある。
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[具体的データ]
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表1 包装フィルム内のガス組成の変化

図1 保存中の果皮色の変化

表2 フィルム包装による保存中の変化

表3 総合鮮度の保存中の変化
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[その他]
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研究課題名:高温期における野菜の品質保持技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2002年度