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甘しょでん粉粕の新規酵素による分解産物の糖組成


[要約]
脱でん粉処理した甘しょでん粉粕はセルラーゼ系のYM4酵素とペクチナーゼ系のM4酵素併用により45%が分解される。分解産物にはセロビオースやガラクトースを主構成糖とするオリゴ糖やウロン酸オリゴ糖を多量に含む。

[キーワード]
甘しょ、でん粉粕、セルラーゼ、ペクチナーゼ、オリゴ糖、食品素材

[担当]
鹿児島県農産物加工研究指導センター・流通保蔵研究室

[連絡先]電話099-268-3231	
[区分]九州沖縄・流通加工推進部会	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
甘しょでん粉粕はクエン酸原料としての需要が激減し、廃棄物として処理しなければならない状況にある。クエン酸原料に替わる利用法として、酵素糖化処理によって価値の高い食品素材に変換する技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 脱でん粉処理した甘しょでん粉粕に、YM4酵素(C.thermocellum:食総研森ら)とM4酵素(Bacillus sp.:鹿児島大菅沼ら)を併用で5%ずつ添加し(YM4:190units/g、M4:230units/g)、摂氏55度、24時間反応により、前処理なしに45%が可溶化できる。(表1図1

  2. 酵素分解による生成糖は、セロビオースを主とする中性糖とウロン酸オリゴ糖と推定される酸性糖が得られ、前者はセルラーゼ系のYM4酵素、後者はペクチナーゼ系のM4酵素による(図2図3)。

  3. 中性糖は、セロビオースの他にガラクトースを主構成糖とするオリゴ糖を含む(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 甘しょでん粉粕の酵素糖化による分解産物の食品素材化については、低コスト化のために効率的酵素分解プロセスの検討等の課題が残されるものの、機能性をもつオリゴ糖の生産法としての利用が期待される。

[具体的データ]

表1 YM4,M4酵素併用による澱粉粕の分解-酵素量、反応温度と糖生成量-


図1 YM4,M4酵素併用による澱粉粕の分解-反応時間と糖生成量-


図2 YM4,M4酵素併用による澱粉粕分解産物のゲル濾過パターン


図3 YM4,M4酵素併用による澱粉粕分解産物の中性糖の構成糖

[その他]
研究課題名:酵素等による澱粉粕廃棄物の有効利用技術
予算区分 :国庫助成(地域先端技術共同研究開発促進事業)
研究期間 :1999〜2001年度


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