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ジベレリンペーストによるパパイアの果実肥大技術


[要約]
開花期の花梗部にジベレリンペーストを塗布すれば、大玉果実を安定生産することができる。また、処理後に花梗部が伸長するため、果実同士の密着による果型のくずれが軽減され、品質が向上する。

[キーワード]
パパイア、ジベレリンペースト、果実肥大

[担当]
沖縄県農業試験場・企画管理部・バイオテクノロジー研究室

[連絡先]電話098-884-9900	
[区分]九州沖縄農業・植物バイテク・果樹	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
パパイアには、雄、雌そして両性の3つの性表現型が存在するが、雌株を栽培する場合、人工受粉しなければ結実しにくく、たとえ結実しても果実は小型となる。一方、両性株の場合には、受粉処理は必要ないが、高温期での花粉稔性低下が原因と見られる両性果実の小型化が問題となっている。そこで、ジベレリンペースト(協和発酵工業製、GA含量2.7%)処理によるパパイア果実の肥大技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. ジベレリンペースト(30〜40mg)をつまようじに取り分け、開花直後の花梗の周囲に塗布すると、果実が肥大する。(図1図2

  2. ジベレリンペースト処理した雌果実は、無核であるが、人工受粉区とほぼ同等に果実が肥大する。また、処理区の果実重は、無処理区の5倍程度である。(図1表1

  3. 花粉稔性の高低にかかわらず、ジベレリンペースト処理した両性果実は肥大する。(図2表2

  4. 高温障害と見られる両性果実の小型化の問題を、ジベレリンペースト処理により解決できる。

  5. ジベレリンペーストを塗布した花梗部分は著しく伸長し、果実同士の密着が軽減され、果実品質が向上する。

[成果の活用面・留意点]
  1. ジベレリンペーストを塗布する際は、花梗周囲に均等に行う。花梗周囲への塗り残しや子房に塗布すると奇形果となる。

  2. ジベレリンペースト処理により、果実糖度が低下する。

  3. ジベレリンペーストは未登録農薬であるため、研究目的以外に利用できない。

[具体的データ]

図1 ジベレリンペースト処理による雌果実の肥大(開花150日後)


表1 ジベレリンペースト処理雌果実の特性調査(開花150日後)


図2 ジベレリンペースト処理による両性果実の肥大(開花150日後)


表2 ジベレリンペースト処理両性果実の特性調査(開花150日後)

[その他]
研究課題名:パパイア及びサトウキビの遺伝子診断による有用形質獲得体の早期選抜技術開発
予算区分 :先端技術(国庫補助)
研究期間 :2000年度〜2002年度


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