重粘土の水田転換畑における新型ロータリによるダイズの部分浅耕播種法
- [要約]
- 重粘土の水田転換畑において麦畝を利用して大豆を播種する場合、新型ロータリで播種条を浅耕、条間を標準耕で同時に播種する部分浅耕一工程播種は、多湿土壌条件下でも播種可能で、苗立ち歩合が安定して高い。また、播種後の残草が少なく、最下着莢高が高くなり機械収穫に適する。
- [キーワード]
- ダイズ、ロータリ、部分浅耕、重粘土、多湿土壌
- [担当]
- 福岡農総試・筑後分場・水田高度利用チーム
[連絡先]電話0944-32-1029
[区分]九州沖縄農業・水田作、農業機械・土木
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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砂壌土の水田転換畑において、適期播種が可能で湿害の回避を図るための技術として麦収穫後の畝を浅く耕うんしながら同時に大豆を播種する浅耕一工程播種技術を開発した(福岡県:2001年成果情報)。しかし、この方法は重粘土では覆土が不十分で苗立ちが不安定となったり、播種後の残草が多い等の問題がある。また、主茎長が短く、最下着莢高が低いため機械収穫を行ううえで支障となる。そこで、これらの問題の改善を図るための播種法を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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ロータリハローの播種条にあたる部分のホルダーに培土用カルチの爪2枚を背中合わせの状態で装着することで、播種条が浅耕、条間が標準耕の部分浅耕一工程播種が可能となる。大豆の播種条間幅が70cmの場合、浅耕部分の幅は43cm、標準耕部分の幅は27cmとし、浅耕部分の中央に播種する(図1)。
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重粘土の水田転換畑において、部分浅耕は多湿土壌条件下でも砕土率が高く、覆土が十分で露出粒が少ない。播種後少雨の年でも覆土が十分であるため、また、播種後多雨の年でも播種部分が浅耕で排水が良いためともに苗立ち歩合が高い(表1)。
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部分浅耕一工程播種は、全面浅耕播種に比べて播種後の残草が少ない(図2)。
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全面標準耕播種や全面浅耕播種に比べて、主茎長が長く最下着莢高が高い。収量は全面標準耕播種や全面浅耕播種と同程度である(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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暖地重粘土の水田転換畑での水稲・麦・大豆輪作体系における機械収穫を前提とした大豆の省力・安定播種技術として活用できる。
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前作の麦うね跡利用を前提としているので、大豆播種時には麦のうね幅と同じ幅のロータリを使用する必要がある。
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重粘土の水田転換畑では、土壌含水比60%程度が圃場容水量である。
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[具体的データ]
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図1 麦畝跡利用による部分浅耕一工程播種法

図2 播種直後の残草の様子

表1 播種法別の砕土率および苗立ち歩合

表2 播種法別の大豆の生育・収量
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[その他]
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研究課題名:新たな米生産調整拡大に対応した水田転作大豆の高生産技術
予算区分 :国庫(地域基幹)
研究期間 :1999〜2003年度
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