長期低温低湿貯蔵におけるダイズ種子の栽培特性と収量性
- [要約]
- 摂氏5度、湿度40%での貯蔵期間が7年7カ月までの大豆種子の栽培特性と収量性は、当該年産種子と同程度で、貯蔵種子の発芽率が80%以上であれば種子としての適格性を具備しており、実用上問題はない。
- [キーワード]
- ダイズ種子、貯蔵種子、収量性
- [担当]
- 福岡農総試・農産部・栽培品質チーム
[連絡先]電話092-924-2937
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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採種計画上または気象災害等により1年もしくは数年間、貯蔵された種子を使用することがある。貯蔵種子の適格性については発芽力と出芽率のみで検討したものが大部分で、生育および収量性まで含めて検討した報告はない。そこで貯蔵期間が異なる場合の発芽率が80%以上(農産物規格規程)である大豆種子の栽培特性および収量性を検討し、種子としての適格性を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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温度摂氏5度、湿度40%で貯蔵した場合、7年7カ月までは播種後1カ月の主茎節数を除いて葉齢、1株当たり乾物重に対する貯蔵の影響はない。10年7カ月貯蔵では生育に影響を及ぼす子葉の乾物重は軽く、播種後1カ月の生育量は劣る(表1)。
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貯蔵期間が2年7カ月〜7年7カ月までは、出芽期、開花期、成熟期および地上部生育量は当該年産種子(7カ月貯蔵)に比べて有意な差は認められず、同じ生育特性を示す。一方、10年7カ月貯蔵では出芽期が遅れるとともに、地上部最大期の生育量も劣る(表1、表2)。
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収量、百粒重および検査等級において、貯蔵期間が2年7カ月〜7年7カ月までは当該年産種子に比べて劣ることはない。10年7カ月貯蔵では1株当たり莢数が減少して収量が劣る(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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種子生産の手引きに登載し、良質種子生産技術のための知見として活用する。
- 1株1本立て、苗立ち密度7.1株/m2(畦幅70cm、株間20cm)での試験条件である。
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供試種子の発芽率はそれぞれ7カ月貯蔵60%、2年7カ月貯蔵92.6%、7年7カ月貯蔵98.7%、10年7カ月貯蔵100%である。
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[具体的データ]
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表1 貯蔵期間別の生育量と生育ステージ

表2 貯蔵期間別の地上部生育、収量、検査等級
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[その他]
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研究課題名:水稲・麦・大豆原原種の維持・増殖
予算区分 :県単
研究期間 :2003年度
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