イグサ品種「筑後みどり」の自然染土泥染めにおける適正カシ法
- [要約]
- イグサ品種「筑後みどり」を自然染土で泥染めして畳表に加工する場合、カシ時間を4時間と短くし、製織直前に原草重量比5%の噴霧水量で再カシを行うことにより、畳表の色調の低下が緩やかとなり、織り傷の発生が抑えられ、品質評価が高くなる。
- [キーワード]
- イグサ、筑後みどり、自然染土、カシ、品質
- [担当]
- 福岡県農業総合試験場・筑後分場・水田高度利用チーム
[連絡先]電話0944-32-1029
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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消費者の農産物に対する安全・安心志向はますます高まっており、畳表においても自然素材であることを強調した販売戦略が必要である。県育種のイグサ品種「筑後みどり」を使った福岡県産ブランド高級畳表「博多華織」は、自然染土のみを使用して泥染めが行われている。しかし、この方法では、製織時のカシによる変色への影響が大きいのではないかと懸念されている。そこで、イグサ品種「筑後みどり」の自然染土泥染めにおける適正カシ法を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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イグサ品種「筑後みどり」を自然染土で泥染めして畳表に加工する場合、カシ時間を4時間と短くすることで、イグサ保管時間が長くなっても畳表の色調の低下が緩やかで、変色程度が少ない(図1、表1)。
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製織直前に原草重量比5%の噴霧水量で再カシを行うことにより、織り傷の発生が抑えられ、品質評価が高くなる(図2、図3)。
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[成果の活用面・留意点]
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イグサ品種「筑後みどり」の自然染土泥染めにおけるカシ法として活用できる。
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カシの噴霧水量が少ないと畳表にキズが出やすく、多すぎるといぐさ表面の染土を流し落とすことがあり色調が悪くなるので注意が必要である。
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[具体的データ]
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図1 カシ程度の異なるイグサの保管時間と畳表の色調評価

表1 保管時間と色調評価の変動

図2 再カシの噴霧水量が異なる場合の織り傷の発生程度

図3 再カシの噴霧水量が異なる場合の畳表の品質評価
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[その他]
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研究課題名:自然染土を利用した場合の適正カシ方法
予算区分 :経常
研究期間 :2002年度(2001〜2002年)
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