小麦チクゴイズミの早期収穫のための播種適期と窒素施肥法
- [要約]
- 黒ボク土壌でのチクゴイズミの栽培においては、播種時期を11月中旬に早めることによってほぼ5月内の収穫が可能になり、穂孕期に窒素成分でa当たり0.2kgの追肥を行うことによって子実タンパク質含有率を適正値の10〜11%とすることができる。
- [キーワード]
- 黒ボク土壌、コムギ、チクゴイズミ、播種時期、穂孕期、窒素施肥
- [担当]
- 熊本県農業研究センター・農産園芸研究所・作物研究室
[連絡先]電話096-248-6444
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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熊本県のチクゴイズミの慣行播種期は11月下旬である。この場合、成熟期が梅雨期に遭遇し、収量、品質が著しく低下する事例が多くみられる。また、チクゴイズミはタンパク質含有率が低く、その向上が課題である。そこで、成熟期を梅雨前の5月内にし、収量、品質を安定させるための播種期を解明するとともに、タンパク質含有率を向上させるための窒素施肥法を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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チクゴイズミは11月5〜15日に播種すると、ほぼ5月内の収穫が可能である(表1)。
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11月5日播種では、年によっては凍霜害(幼穂の凍死及び不稔)が発生し、著しい収量の低下がみられるので、播種の早限は11月中旬である(表1)。
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タンパク質含有率は播種時期が早くなるほど低下する傾向にある(図1)。
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穂孕期及び出穂後10日目の追肥がタンパク質含有率の向上に有効であるが、穂孕期の追肥が倒伏、作業の面から適している(表2)。
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穂孕期に窒素成分でa当たり0.2kgの追肥を行うと10〜11%のタンパク質含有率が確保される(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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熊本県下黒ボク土壌地帯のチクゴイズミの収量、品質の向上技術として活用できる。
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本試験は黒ボク土壌における結果である。
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[具体的データ]
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表1 播種時期の違いによる収量、品質の差(播種量0.5kg/a)

図1 播種期の違いによるタンパク質含有率の変動

表2
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[その他]
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研究課題名:黒ボク水田を対象とする秋播性小麦品種の熟期早進化技術の開発
予算区分 :21世紀プロ1系
研究期間 :1999〜2003年度
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