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被覆尿素基肥施用によるイグサの省力・減量施肥体系


[要約]
イグサ栽培において、被覆尿素を基肥に施用することで、現行窒素施肥と比べ、総窒素施用量を2割減量、窒素追肥回数を4回から1回に減らすことができ、なお、現行施肥体系と同等以上の収量・品質が得られる。

[キーワード]
イグサ、被覆尿素、施肥、減肥、省力、収量、品質、環境保全

[担当]
熊本農研セ・い業研・育種栽培研究室

[連絡先]電話0965-52-0372	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
イグサは近年、価格が低迷、作付面積や生産農家数が減少し、よりいっそうの品質向上によるブランド化やコスト低減を図ることが求められている。イグサ栽培においては、窒素施肥量・施肥回数が多い現行のイグサ施肥体系を、収量と品質を確保しながら、省力と環境保全の面から見直し、新しい施肥体系を組み立てる必要がある。そこで、追肥作業の省力化と施肥窒素量削減を目的に、被覆尿素を利用した施肥体系を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. イグサの被覆尿素基肥施用体系は、総窒素施用量を20%削減できる。窒素施用においては追肥回数を4回から1回に減らすことができ、その施用量も8kg/10aと少なくできる。(表1

  2. イグサの被覆尿素基肥施用体系では、現行窒素施肥体系と比べて初期生育がやや進む(図1)。また、現行窒素施肥体系と比べ、収量が同等以上あり(図2)、畳表色調が同程度である(データ省略)。なお、ひのみどりも岡山3号とほぼ同様の効果である。

  3. イグサの被覆尿素基肥施用体系は、系外への窒素流出量が軽減できる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 現行施肥法と比べ倒伏防止網を張った後の追肥回数と施肥量が減るため、省力性が大きい。省力、かつ、環境保全型の施肥技術として、八代平野イグサ栽培地帯に普及する。

  2. これらの施肥体系は、い業研究所(八代郡鏡町、八代平野)において、12月上旬植付け7月上旬収穫の作期での栽培試験結果である。

  3. 生育期間の気象によっては、追肥内容の調整が必要な場合がある。

  4. イグサの被覆尿素基肥施用体系では部分変色茎がやや増えるので、部分変色茎の多い品種(岡山3号等)では、よく選別する必要がある。

[具体的データ]

表1 各施肥体系の内容 (単位:kg/10a)


図1 各施肥体系の生育


図2 収穫物の形質および収量


図3 被覆尿素基肥施用体系の窒素動態

[その他]
研究課題名:窒素負荷軽減のための新技術開発と合理的施用技術の体系化
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2002年度


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