ダイズ「キヨミドリ」における子実緑色保持のための栽培・保存法
- [要約]
- 「キヨミドリ」は、7月上旬に栽植密度を条間70cm、株間10cmにすることで成熟期の茎水分が低くなり、莢先熟が軽減できる。また収穫は成熟期に行い、過乾燥せず低温暗所に保存することで子実の色調変化を抑えることができる。
- [キーワード]
- ダイズ、キヨミドリ、莢先熟、保存方法、色調、豆腐
- [担当]
- 大分農技セ・水田利用部
[連絡先]電話0978-37-1141
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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大分県内各地の農産物直売所では、大豆を用いた加工品の販売が盛んに行われている。その中には「キヨミドリ」を用いた豆腐があるが、豆腐にすると緑色が薄くなるため、一般の豆腐との差別化が困難となっている。また、成熟期に茎水分が高い莢先熟の特性により成熟期収穫ができない状況にあった。そこで、「キヨミドリ」の栽培及び色調保存に関する特性について検討し、地産地消に取り組む地域に資する。
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[成果の内容・特徴]
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子実表面の色調は、成熟期より早く収穫すると濃く、収穫期が遅れるほど薄くなる(表1)。
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保存時の子実水分は、15%の方が10%に比べ明らかに緑色が保持できる(表1)。
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保存場所では、天日保存では色調が薄くなるため、低温暗所保存がよい。摂氏5度と摂氏15度の保存温度間で色調は変化しない(表2)。
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保存方法の豆乳、豆腐の色調への影響では、天日保存で色調が薄くなるため、低温(摂氏5度、摂氏15度)暗所保存がよい(表2)。
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7月上旬播種で、栽植密度を条間70cm、株間10cmにすると、茎が細くなり、成熟期の茎水分が低くなるため莢先熟とならず、成熟期収穫が可能となる(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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「キヨミドリ」を用いて地産地消に取り組む地域の栽培、保存法として活用できる。
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汚粒発生を防ぐため収穫に際しては、青立ち株の抜き取りを行う。
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加熱時間60分より15分の方が豆腐の緑色が濃く(a*が低下)なる傾向が認められたが、豆腐としての堅さ(破断加重)が15分では充分でなく、加熱時間と加熱温度のさらなる検討が必要。
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[具体的データ]
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表1 収穫時期・子実水分の違いによる色調変化

表2 保存場所・温度の違いが子実及び豆腐の色調に与える影響及び豆腐の破断試験結果

表3 生育・収量調査結果(2003年)
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[その他]
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研究課題名:キヨミドリの色調に関する特性解明
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2003年度
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