飼料用水稲新品種候補「宮崎飼42号」の特性
- [要約]
- 「宮崎飼42号」は飼料用水稲「モーれつ」にγ線を照射して難脱粒性とした突然変異系統である。脱粒性以外の特性は「モーれつ」と同等である。
- [キーワード]
- 飼料イネ、モーれつ、突然変異系統、難脱粒性
- [担当]
- 宮崎県総合農業試験場・作物部
[連絡先]電話0985-73-2126
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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現在、県内で普及している飼料用水稲「モーれつ」は全重が大きく、強稈で倒伏しにくいインド型水稲のため日本型の食用米との識別性が高く、飼料用水稲として優れた品種である。しかし、脱粒性が極易のため収穫時期に籾が水田に落ちることによる漏生稲の発生や、種子生産にあたり生産量が確保しにくいことが大きな問題となっている。そこで、「モーれつ」の脱粒性を改良した飼料用水稲品種を育成する。
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[成果の内容・特徴]
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「モーれつ」を難脱粒化することを目的とし、2001年にγ線を照射したものの中から2002年に個体選抜を行い、2003年に生産力検定本試験に供した。「モーれつ」と比較した特性は以下のとおりである。
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「モーれつ」と比べ、稈長・穂長・穂数ともに同程度である(表1)。立毛状態において脱粒性以外の特性で「宮崎飼42号」と「モーれつ」の識別はできず、同質遺伝子系統と考えられる。
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芒は無く、ふ先色と頴色は“褐”、着粒密度は“中”である(表1)。
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出穂期・成熟期は「モーれつ」と同じである(表1)。
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耐倒伏性は強く強稈である(表1)。
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「モーれつ」と同様に株基の紫色や稲株からの臭いがある。
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穂発芽性は“易”である(表1)。
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全風乾重は「モーれつ」より多収であったが、ほ場に落ちた量を考慮すると同等程度であったと思われる(表1)。
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玄米は「モーれつ」と同じ“粳種”でインド型の長粒種であり、千粒重・外観品質も同程度である(表1)。
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脱粒性は“極易”の「モーれつ」より3倍程度脱粒しにくく、「ユメヒカリ」より脱粒しにくい“難”である(表1、表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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「モーれつ」の代替品種として平成16年に種苗登録をし、早急に普及を行う。
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いもち耐病性は真性抵抗性遺伝子をもつと推定され、ほ場抵抗性が不明なので侵害菌の発生に留意し、適正防除に努める。
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[具体的データ]
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表1 一般特性(2003年度)

表2 脱粒特性(2003年度)

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[その他]
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研究課題名:みやざきオリジナル多用途水稲品種の育成、葯培養による水稲品種の育成技術開発、
予算区分 :単県
研究期間 :2001年〜2003年度
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