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普通期晩生、観賞用の水稲糯新品種候補「宮崎観糯37、38、39、40、41号」


[要約]
水稲「宮崎観糯37、38、39、40、41号」は「ちくし赤糯22号」/「Fl175」の組合せから育成された晩生の糯種、籾と芒(ぼう)の鮮やかな色に特徴がある観賞用稲である。

[キーワード]
イネ、晩生、糯、観賞用稲

[担当]
宮崎県総農試・作物部・育種科

[連絡先]電話0985-73-2126	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
水稲品種に対する消費者、実需者等のニーズが多様化する中で、水稲をドライフラワーや民芸品などの外観に着目した地域特産としての利用が盛んに行われるようになってきた。そこで、籾と芒の鮮やかな色に特徴を持ち、生け花やドライフラワーの材料などの観賞用として適する水稲新品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
  1. 水稲「宮崎観糯37、38、39、40、41号」は、1997年に赤色の長い芒を有する「ちくし赤糯22号」を母、紫色の長い芒を有する「Fl175」を父として人工交配を行った組合せに由来する姉妹系統である。

  2. 籾と芒の色は系統によって異なり、「宮崎観糯37号」が赤籾、赤の長芒、「宮崎観糯38号」が紫籾、紫の長芒、「宮崎観糯39号」が黄白籾、白の長芒、「宮崎観糯40号」が赤籾、赤の中芒、「宮崎観糯41号」が紫籾、紫の中芒を有する。(表1図1

  3. 「宮崎観糯40号」の玄米色は赤く、赤糯であるが、その他は一般の糯系統である。(表1図2

  4. 各系統の出穂期は8月31日〜9月2日で普通期水稲、“晩生の晩”に属する(表1)。

  5. 稈長はそれぞれ88〜98cm程度の長稈で、そのため成熟期には倒伏しやすい(表1)。

  6. 穂数が少ないため全重、玄米収量とも少ない。千粒重は一般の主食用品種と同程度である(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 普通期水稲栽培地帯への普及を予定し、種苗登録を行う。

  2. 生花として利用する場合は、出穂から1週間後から刈り取り適期となる。出穂から2週間を超えると圃場内で鮮やかな色が退色してくるので注意すること。

  3. ドライフラワーとして利用する場合は、生花と同時期が刈り取り適期であるが、赤色を含む系統(37号、40号)については刈り取り直後に摂氏70度以上の高温で乾燥させると、鮮やかな色を保持できる。

  4. 長稈で、成熟期には倒伏程度が大きいが、基肥の量を減らすことで倒伏の軽減が可能である。

  5. 赤糯は通常の品種と混ざると、検査等級を下げるなどの問題があるので種子の管理は徹底する。また、同熟期の他品種との自然交雑に留意する。

[具体的データ]

表1 特性一覧


図1 穂揃い期の穂の外観


図2 籾と玄米の外観

[その他]
研究課題名:みやざきオリジナル多用途水稲品種の育成
予算区分 :県単
研究期間 :1997年〜2003年度


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