容積重、製粉特性からみた小麦の刈取適期
- [要約]
- 小麦の製粉特性からみた刈取適期は、容積重、フォーリングナンバー値および粉の色相が安定して優れる成熟期後4〜5日であり、コンバインによる収穫適期と一致する。
- [キーワード]
- 刈取適期、粉の色相、コムギ、製粉特性、フォーリングナンバー値、容積重
- [担当]
- 福岡農総試・農産部・栽培品質チーム
[連絡先]電話092-924-2937
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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小麦のコンバインによる収穫適期は、成熟期後4日頃の水分含有率が25%以下となった時点である。小麦の民間流通への移行に伴い、実需者から品質向上の要望が高まっている中、製粉特性をも考慮した刈取適期を明らかにする必要がある。そこで、高品質な小麦の生産技術を確立するため、容積重、フォーリングナンバー値および粉の色相等の製粉特性からみた刈取適期を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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容積重は早刈り(成熟期前1日〜成熟期後1日)では明らかに低く、標準刈り(成熟期後4〜5日)に最大となる。成熟期以降降雨の多い年では、遅刈り(成熟期後9日)に低下が認められるが、降雨が少ない年では低下しない(図1)。
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製粉歩留は刈取時期に影響されないが、粉の灰分含有率は早刈りでは明らかに高く、標準刈り〜遅刈りでは安定する(図1)。
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アミロ値の指標であるフォーリングナンバー値は標準刈り〜遅刈りが高いが、成熟期以降降雨の多い年では遅刈りすると低下する傾向があり、標準刈りが安定して高い(図1)。
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粉の色相は早刈りでは明らかに劣り、成熟期以降降雨の多い年では、標準刈りが最も優れ、遅刈りすると低下する。降雨が少ない年では遅刈りが優れる(図1)。
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[成果の活用面・留意点]
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製粉特性の向上を目的とした高品質小麦生産のための、刈取適期の判断資料として活用できる。
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成熟期は、外観及び粒の硬さから判断し、水分含有率が30〜35%の時点を示す。成熟期後4〜5日はコンバイン収穫適期と一致する。
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[具体的データ]
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図1 刈取時期別の容積重、製粉特性
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[その他]
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研究課題名:北部九州における小麦品質の高位安定化技術の確立
予算区分 :国庫(21世紀プロ)
研究期間 :2001〜2002年度
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