暖地での水稲ロングマット育苗・移植技術の適応性と苗押さえ改良効果
- [要約]
- 暖地における水稲普通期栽培では、ロングマット水耕苗は慣行土付苗に比較して、やや軟弱で徒長した苗となる。移植時の欠株および損傷苗の発生が慣行土付苗より多くなるが、移植機にくし型苗押さえを装着することにより、収量は慣行の95%程度確保できる。
- [キーワード]
- 暖地、イネ、ロングマット水耕苗、欠株、損傷苗、苗押さえ
- [担当]
- 長崎総農林試・作物部・作物品種科
[連絡先]電話0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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水稲移植栽培における大幅な省力化が可能なロングマット苗の育苗・移植技術について、暖地ではまだその適応性が検討されていない。そこで暖地におけるロングマット苗と慣行土付苗の苗質、欠株率、生育、収量を検討するとともに、苗押さえの改良による欠株減少効果を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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5月下旬播種、育苗日数14日で得られるロングマット水耕苗は、育苗日数20日の慣行土付苗に比較して草丈がかなり高くなる。地上部生体重は慣行土付苗より重いが、風乾重は軽く、地上部の水分が高い充実度の低い軟弱な苗となる(表1)。
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移植直後の欠株率は、移植機の苗押さえにフォーク型を用いた場合、慣行土付苗より10%程度多くなる。さらに、損傷苗の発生が多いため、活着後の欠株率は慣行土付苗より20%程度多くなる(図1、表2)。
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活着後の欠株率は、移植機の苗押さえをフォーク型からくし型にすることにより低下するが、慣行土付苗よりは10%程度多くなる(図1、表2)。
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ロングマット水耕苗は、植え痛みにより活着が若干遅れるが、出穂期、成熟期は慣行土付苗とほぼ同じになる(表3)。
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収量は、フォーク型苗押さえ装着で慣行土付苗の90%となるが、くし型苗押さえを装着することにより95%程度の収量が確保される(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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ロングマット水耕苗は「ロングマット苗の育苗・移植技術マニュアルVer.2(中央農研)」に準じた育苗管理を行う。
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[具体的データ]
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表1 供試苗特性(2000〜2003年平均)

図1 苗押さえ

表2 移植精度および損傷苗の発生状況

表3 生育・収量
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[その他]
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研究課題名:高能率生産のための水田機能向上技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2003年度
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