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水稲の高温登熟による背白粒の発生を抑える施肥条件


[要約]
高温年における背白粒の発生程度は施肥条件によって異なり、多肥栽培で背白粒の発生が少なくなる。特に穂肥の窒素施肥量を増加すると背白粒の発生を抑え品質を向上させることができる。

[キーワード]
イネ、背白粒、施肥、穂肥、品質

[担当]
長崎県総合農林試験場・作物部・作物品種科

[連絡先]電話0957-26-3330	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
近年、気候温暖化にともない水稲の登熟期の高温による玄米品質の低下が問題になっている。そこで登熟期間の高温によって発生する背白粒の発生程度について施肥条件との関係を検討し、高温条件下での高品質米生産技術の開発に資する。

[成果の内容・特徴]
  1. 背白粒の発生は施肥条件によって異なり、品種によって程度の差はあるものの標準施肥に比べて基肥と穂肥の窒素施肥量をそれぞれ1.5倍にした多肥栽培で減少する(図1)。

  2. 「ミルキークイーン」の背白粒の発生程度は、出穂後の気温が高くなると窒素施肥区に比べ無窒素区が著しく増加する(図2)。

  3. 「ミルキークイーン」は出穂後の気温が高くても穂肥の窒素量を増やすことによって背白粒の発生が少なくなる(図2)。

  4. 以上のことから施肥量、特に穂肥量を増加することにより背白粒の発生を抑え玄米品質を向上させることができる。

[成果の活用面・留意点]
  1. 高温年における品質改善技術の基礎資料として活用する。

  2. 穂肥の増加によって籾数の増加による未熟粒の発生や食味への影響も懸念されるのでそれらを含めた生育診断技術の検討が必要である。

  3. 主にミルキークイーンの事例であるので、今後その他の粳品種での検討が必要である。

[具体的データ]

図1 施肥条件と背白粒の発生程度(2003年)


図2 ミルキークイーンの施肥条件と背白粒の発生程度(2000〜2003年)

[その他]
研究課題名:稲・麦・大豆奨励品種決定調査
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2003年度


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