半糯水稲品種「秋音色」の外観品質と食味関連形質の作期間の安定性
- [要約]
- 半糯水稲品種「秋音色」は、5月中旬、6月中旬及び7月中旬移植で、外観の品質が安定して良好であり、各移植期で「ヒノヒカリ」より優る。アミロース含有率は10%前後で、登熟気温の変化による変動が極めて小さく、「食味の総合評価」が高位に安定する。
- [キーワード]
- イネ、秋音色、半糯、食味、アミロース含有率
- [担当]
- 熊本県農業研究センター・農産園芸研究所・作物研究室
[連絡先]電話096-248-6444
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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熊本県では、水稲半糯品種「秋音色」を育成し、2003年に認定品種に採用し、普及拡大に努めている。「秋音色」の作期移動試験(5月中旬、6月中旬及び7月中旬移植)を「ヒノヒカリ」を比較品種として実施し、その生育・収量・外観の品質及び食味関連形質の特性を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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- 「秋音色」の収量は、6月中旬移植区>7月中旬移植区>5月中旬移植区の順に高く、「ヒノヒカリ」と同じ傾向を示す(表1)。
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外観の品質は、「ヒノヒカリ」では6月中旬移植区で低下する。「秋音色」は淡く白濁するが、乳白粒・腹白粒・背白粒及び心白粒の発生はほとんど認められず、移植時期にかかわらず、安定して良い(表1)。
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「ヒノヒカリ」では登熟気温(出穂後30日間の平均気温)が高くなる程、アミロース含有率は低くなるが(図1 r2=-0.697*)、「秋音色」では登熟気温とアミロース含有率の間に相関は認められず(図1 r2=-0.175)、アミロース含有率は10%前後で安定している。
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「秋音色」の食味は、「ヒノヒカリ」と比較して、移植時期にかかわらず、粘りが強く、総合評価も高い(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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半糯水稲品種では、登熟気温によりアミロース含有率が大きく変動することが問題であったが、「秋音色」はこれを克服した品種であることが明らかとなり、米販売業者からの評価が高くなることが期待される。
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[具体的データ]
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表1 生育・収量・収量構成及び品質(2000年度、2001年度、2002年度の平均)

図1 アミロース含有率と登熟気温(出穂後30日間の平均気温)の関係

表2 食味特性(2000年度、2001年度、2002年度の平均)
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[その他]
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研究課題名:新形質米(半糯)の栽培技術
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2002年度
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