早生、良食味の水稲新品種候補系統「大分11号」
- [要約]
- 水稲新品種「大分11号」は出穂期が「こいごころ」より1〜2日遅い早生である。食味は「ヒノヒカリ」並の良食味である。葉いもち病圃場抵抗性は“中”程度であるが、穂いもち病抵抗性は“強”である。稈質が強く耐倒伏性は“やや強”である。
- [キーワード]
- 早生、良食味、穂いもち、耐倒伏性、大分11号
- [担当]
- 大分県農業技術センター・水田利用部、久住試験地
[連絡先]電話0978-37-1141
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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大分県では「ヒノヒカリ」の作付け面積比率が80%と一品種に集中している。また、標高500mの栽培不適地まで「ヒノヒカリ」が作付けされており、県内の標高300m以上に適する早生品種の育成が強く要望されてきた。そこで、早生、良食味で栽培特性に優れた品種を育成した。
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[成果の内容・特徴]
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1990年に「葵の風」を母、「ヒノヒカリ」を父として交配した組み合わせから育成した。特性は以下のとおりである。
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出穂期は「こいごころ」より1〜2日遅く、「ヒノヒカリ」より3〜4日早い。
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成熟期は平坦地で「こいごころ」より3日遅く「ヒノヒカリ」より7日早い。山間地では「こいごころ」より5日遅く「ヒノヒカリ」より6日早い。
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稈長は「こいごころ」より長く、「ヒノヒカリ」よりやや短い。
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穂長は「こいごころ」より短いが、「ヒノヒカリ」より長い。
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穂数は「こいごころ」、「ヒノヒカリ」よりやや少ない偏穂重型である。
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耐倒伏性は稈質が強いため「こいごころ」「ヒノヒカリ」より強い。
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玄米収量は「こいごころ」と同程度の多収である。千粒重は「ヒノヒカリ」と同程度で形状も類似している。
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玄米の検査等級は「こいごころ」よりやや劣り、「ヒノヒカリ」と同程度である。
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いもち病の圃場抵抗性は葉いもちには「中」で穂いもちには「強」でいずれも「ヒノヒカリ」より強い。穂発芽性は「難」である。
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食味は「コシヒカリ」「ヒノヒカリ」と同等の良食味である。
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[成果の活用面・留意点]
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標高600m以下を主体に作付けを行う。
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1穂籾数が多いので多肥栽培は避け収穫時期の判定に留意する。
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穂発芽性が難のため浸種を十分に行い、催芽状況を確認して播種する。
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[具体的データ]
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表1 一般特性

表2 食味評価(宇佐産米)
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[その他]
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研究課題名:Next大分米の開発
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2003年度
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