野菜用半自動移植機の汎用利用による精密1粒播種
- [要約]
- 野菜用半自動移植機の苗投入テーブルの上に種子繰出しユニットを取付けて、種子繰出し目皿をテーブルの回転に合わせて回転させることにより、種子を苗投入カップに1粒ずつ落下させることができ、野菜用半自動移植機を精密1粒播種機として汎用利用できるようになる。
- [キーワード]
- 播種機、精密1粒播種、野菜移植機、ダイコン、根菜類
- [担当]
- 九州沖縄農研・畑作研究部・畑作総合研究チーム
[連絡先]電話0986-22-1506
[区分]九州沖縄農業・畑作、農業機械・土木
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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ダイコン等の根菜類のトンネル栽培では、マルチ対応型の播種機もあるが、シードテープによる播種が一般に行われている。しかし、シードテープ自体が割高である上に通常のマルチよりも高価なスリットマルチを併用しなければならないという問題がある。現在、根菜類を除くほとんどの露地野菜が移植機によって能率的に植付けられるようになっており、移植機を汎用利用して播種できればコスト低減につながる。そこで、野菜用移植機の苗投入カップに種子を1粒ずつ落とし込み、苗を等間隔・定深さに植付けられる移植機の能力を活用して種子を等間隔に1粒ずつ正確に播種できる汎用移植機を開発する。
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[成果の内容・特徴]
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野菜用半自動移植機は、その上方に傾斜目皿式種子繰り出しユニットを取付けることにより、1粒播種機として汎用利用できる(図1(A))。
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種子の苗投入カップへの落下タイミングは、種子繰出しユニットの駆動軸と苗投入テーブルの駆動軸とをユニバーサルジョイントで繋ぎ(図1(B))、苗投入カップ数(8個)と同数のセル穴をもつ目皿を使用することで完全に同期をとれる。ダイコンコート種子(品種:耐病総太り、粒径:図2)に対して、セル穴径8mmの目皿を使用した場合、99%以上の苗投入カップへの種子投入精度が得られる(表1)。
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苗投入カップに落下した種子は開孔器(植付け嘴)の上下動により開けられた植穴に落し込まれる。このとき、開孔器内壁の給水管からの吐出水によって植穴が崩され適度な深さに覆土される。この吐出水は開孔器内壁に付着する土を洗い流して、種子を確実に植穴に落下させる作用も併せもっている。
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播種間隔は移植機の株間隔設定レバーを操作して調整するが、移植機の車輪を一回り小さなものと交換することにより22cmまでとれる。これにより、ダイコンを約2.6h/10aの能率で播種でき(表2)、10月播種で96%の出芽苗立ち率が得られる。
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[成果の活用面・留意点]
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マルチ栽培において適当な播種機を保有せず、小規模(数10アール程度)の播種を必要とする場面に効果的である。
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水の噴出量は種子が播種穴から浮き上がらない程度に絞る必要がある。
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播種深さは移植機の植付け深さレバーにより適宜調整できる。
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[具体的データ]
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図1 野菜移植機によるダイコン播種の様子(A)と種子繰り出しユニットの結合状況(B)

図2 コート種子の粒径分布

表1 苗投入カップへの種子投入精度

表2 開発機によるダイコン播種作業能率
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[その他]
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研究課題名:共通化・汎用化技術に基いた軽労畑輪作技術の現地実証
課題ID:07-01-06-01-04-03
予算区分 :交付金(地域総合)
研究期間 :2001〜2005年度
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