耐倒伏性が極めて強い夏播用エンバク品種「たちあかね」
- [要約]
- エンバク「たちあかね」は、夏播用品種に求められる耐倒伏性、冠さび病抵抗性、種子休眠性が改良された品種である。エンバク栽培の中心である南九州においては特に高い能力を発揮する。
- [キーワード]
- エンバク、夏播栽培、耐倒伏性、種子休眠性、冠さび病抵抗性、飼料作物育種
- [担当]
- 九州沖縄農研・畜産飼料作研究部・牧草育種研究室、上席研究官
[連絡先]電話096-242-7754
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(草地飼料作)、畜産草地
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
- 現在流通している夏播栽培用エンバク品種の多くは、耐倒伏性、冠さび病抵抗性および種子休眠性の改良が不十分であり、より適性の高い品種への置き換が求められている。そこで、エンバク栽培の中心である南九州における現地評価・選抜も加えて、夏播栽培適性の高い新品種を育成する。
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[成果の内容・特徴]
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耐倒伏性は夏播栽培において既存品種中最も強い(表1)。
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早晩性は「たちいぶき」並みかやや早く、「極早生」に属する(表1)。
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夏播栽培で重要な冠さび病に対する低抗性は「極強」である。葉枯れ病抵抗性は「たちいぶき」並みかやや強く、かさ枯れ病、黒斑病抵抗性は「たちいぶき」より明らかに強い(表1)。
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発芽の安定性に関係する種子休眠性は「たちいぶき」より浅い(表1)。
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夏播における乾物収量は、「たちいぶき」比96、「はえいぶき」比103である(表1)。
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粗蛋白含有率は「たちいぶき」よりやや低いが、乾物分解率は「たちいぶき」より明らかに高く、飼料品質に優れる(表1)。
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採種性は「たちいぶき」と同等である(表1)。
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収量性と耐倒伏性から判断して、南九州において高能力を発揮する(図1、図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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南九州における夏播栽培の播種適期は8月下旬から9月中旬であるが、本品種はこの時期内の早播により能力を発揮する。
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[具体的データ]
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表1 エンバク「たちあかね」の夏播栽培における諸特性

図1 収量性の地域差

図2 倒伏程度の地域差
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[その他]
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研究課題名:暖地向き青刈りえん麦品種の育成
課題ID:07-04-02-*-04-03
予算区分 :交付金
研究期間 :1990〜2003年度
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