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交雑種去勢肥育牛におけるイタリアンライグラスサイレージの給与効果


[要約]
交雑種去勢肥育牛の肥育前期(生後7〜14カ月齢)に、開花期に収穫調製したイタリアンライグラスサイレージを給与すると、日増体量、枝肉の色および締まりきめ等級が向上し、格付け等級3以上の出現率も増加する。

[キーワード]
肉用牛、交雑種、イタリアンライグラス、開花期

[担当]
福岡農総試・家畜部・肉用牛チーム

[連絡先]電話092-925-5232	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(肉用牛)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
交雑種去勢肥育牛についてはその産肉能力を活かした肥育技術の開発が望まれている。その中で、給与飼料中の繊維成分を増給することにより飼養効率や肉質が向上することが報告されており、イタリアンライグラス等を活用することで交雑種去勢肥育牛の肥育成績を向上させることが期待できる。そこで、粗飼料としてイタリアンライグラスサイレージ(IRWS)を用い、その給与期間および刈り取り熟期が交雑種去勢肥育牛の産肉性に及ぼす影響について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 交雑種去勢肥育牛に粗飼料としてIRWSを給与した場合、乾物摂取量は稲わらを給与した場合と同様であるが、肥育前期の日増体量が増加し、出荷体重も大きくなる(表1)。

  2. IRWS給与により肉色(BCSNo.)および肉締まり等級は向上する傾向にある。また、肥育中期以降までIRWSを給与すると皮下脂肪の黄色度が増加するため、IRWSの給与期間としては肥育前期までが適当である(表2)。

  3. 肥育前期に給与するIRWSとしては、開花期収穫の方が出穂期収穫のものより肥育後期における乾物摂取量および日増体量の低下が少なく、出荷体重も大きくなる(表3)。

  4. 開花期収穫のIRWSを給与した場合、出穂期収穫給与の場合より枝肉のロース芯面積、肉色(BCSNo.)、脂肪の質および肉締まりに優れる傾向がある。交雑種去勢肥育牛の肥育前期に給与するIRWSの収穫時期は開花期が適当である(表4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 交雑種去勢肥育牛を用いた高品質牛肉生産のための技術指標作成のための資料として活用する。

  2. 交雑種去勢肥育牛の肥育前期に開花期のIRWSを給与する場合、ビタミンAが欠乏する危険性があるため、複合ビタミン製剤等による補強が必要である。

[具体的データ]

表1 IRWSの給与期間が交雑種去勢肥育牛の発育に及ぼす影響


表2 IRWSの給与期間が交雑種去勢肥育牛の肉質に及ぼす影響


表3 IRWSの刈り取り熟期が交雑種去勢肥育牛の発育に及ぼす影響


表4 IRWSの刈り取り熟期が交雑種去勢肥育牛の肉質に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:自給飼料増給による高品質牛肉の効率的生産技術
予算区分 :助成試験(先端技術)
研究期間 :1999〜2002年度


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