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乳用種および交雑種去勢肥育素牛における効率的除角方法


[要約]
角神経部に局所麻酔投与、角基部に止血用ゴムバンドを装着し、10分後に除角を実施することにより、出血・疼痛が少なくなり、短時間で効率的に除角が実施できる。除角後の角の伸長は、切断部位が角基部から離れるほど大きく、交雑種は乳用種より大きい。

[キーワード]
肉用牛、肥育素牛、除角

[担当]
福岡農総試・家畜部・肉用牛チーム

[連絡先]電話092-925-5232	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(肉用牛)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
牛の除角は、競合抑制、管理者の安全確保等のために実施される。肥育牛では素牛導入後に除角を実施する場合が多いが、この作業は重労働であるとともに牛にとっても大きなストレスとなる。そこで、7ヵ月齢の乳用種(ホルスタイン種)および交雑種(黒毛和種雄×ホルスタイン種雌)去勢肥育素牛において、除角器具、麻酔・保定方法の違い、止血バンド装着が除角に要する所要時間、除角時の出血・疼痛状況、除角後の角伸長に及ぼす影響を調査することにより、肥育素牛における効率的除角方法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 立位保定で除角を実施する方が、横臥位保定で実施する場合に比べて牛反転等の必要がないために、除角開始から焼烙止血終了までの所要時間が短い。また、局所麻酔投与・止血用ゴムバンド装着の10分後に除角することにより、1頭当たり2〜2.5分と非常に短時間で除角が実施できる(表1)。

  2. 除角鋏および除角器で除角する場合、角基部周囲にゴムバンドを装着して圧迫止血することにより、除角時の出血が少なくなる。局所麻酔投与・止血用ゴムバンド装着の10分後に除角することにより、より出血程度が抑制される(表1)。

  3. 局所麻酔投与の10分後に除角を実施することにより、除角時の疼痛が抑制される傾向にある(表1)。

  4. 本試験では線鋸>除角鋏>除角器の順に角基部から離れた位置で切断しており、切断部位が基部から離れるほど除角後の角の伸長が大きくなる。また、除角後の角の伸長は、交雑種牛が乳用種牛より大きい(図1図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 肥育素牛の除角を実施する際の参考資料として利用できる。

  2. 止血用ゴムバンドは、除角実施翌日までに除去する。

  3. 除角後の炎症、化膿を防止するため、除角部位の消毒を実施する。

[具体的データ]

表1 除角方法が所要時間、出血・疼痛状況に及ぼす影響(交雑種)


図1 止血用ゴムバンド


図2 除角後の角伸長状況(乳用種牛)


図3 除角後の角伸長状況(交雑種牛)

[その他]
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2003年度