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肥育中期のTDN給与量を調節することで枝肉の皮下脂肪および筋間脂肪割合を抑制できる


[要約]
黒毛和種去勢牛の肥育において肥育中期のTDN給与量を日本飼養標準におけるDG0.7kgに必要な要求量に調節すると飽食給与した区と比べ、枝肉の「とも」部分において筋間脂肪割合が少なくなる。また、「もも」部分の皮下脂肪割合が少なく赤肉割合が多くなる。

[キーワード]
ウシ、肉用牛、TDN給与量、皮下脂肪、筋間脂肪、赤肉

[担当]
鹿児島畜試・肉用牛部

[連絡先]電話0995-48-2185	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(肉用牛)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
肉質等級が同じ3等級の場合歩留等級AとBの枝肉単価には70円/kgの差があるため枝肉重量が430kgの場合、A等級とB等級の間には30,100円の枝肉販売価格の差が生じている。この歩留等級を決定するための歩留基準値は枝肉の胸最長筋面積、ばらの厚さ、冷と体重(半丸枝肉)および皮下脂肪の厚さから計算される。そこで、生後6.3ヵ月齢から24.3ヵ月齢の18ヵ月間肥育において枝肉の歩留等級に影響を及ぼす胸最長筋面積、ばらの厚さ、冷と体重(半丸枝肉)および皮下脂肪の厚さの改善を目的とし混合飼料(TMR)を用い肥育中期のTDN給与量が枝肉性状に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 14.2ヵ月齢から20.6ヵ月齢(肥育中期)の飼料給与量を日本飼養標準におけるDG0.7kgに必要なTDN要求量の100%量に調節した制限区のTDN摂取量は1057kg/頭となり,同一のTMRを飽食給与した飽食給与区の1147kg/頭と比べ90kg/頭少なくなる(表1)。

  2. 制限区における14.2〜20.6ヵ月齢のDGは0.75kgとなり、飽食区のDG0.81kgと比べ低い値となるが24.3ヵ月齢時の体重に差はない(表2)。

  3. 制限区では飽食区と比べ胸最長筋面積が大きく、ばらの厚さが厚く、皮下脂肪の厚さが薄く歩留基準値も優れる(表3)。

  4. 制限区の枝肉では、枝肉を3分割した「とも」部分において飽食区と比べ制限区の筋間脂肪割合が少なくなる(表4)。

  5. 制限区の枝肉では、「もも」部分において飽食区と比べ皮下脂肪割合が少なく赤肉割合が多くなる(表4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 肥育中期のTDN給与量を調節することで発育を制限することなく枝肉への脂肪蓄積を抑制できる。

  2. 試験期間中は両試験区とも同一の肥育用混合飼料を給与した。また、TDN給与量を調節した肥育中期以外の試験期間の飼料給与量は両試験区とも飽食とした。

[具体的データ]

表1 飼料給与量、飼料摂取量およびTDN摂取量


表2 体重およびDG


表3 枝肉の格付成績


表4 枝肉構成割合(左半丸に対する%)

[その他]
研究課題名:低コスト・高品質牛肉生産のための飼養技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2001年〜2004年度


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