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最少容量での超急速ガラス化法による牛バイオプシー胚の生存性向上


[要約]
牛バイオプシー胚は、平衡液で5分間前処理後ガラス化液GESXに30秒間浸漬し、クライオトップを用いて最少容量で超急速ガラス化することにより、融解後の生存性が向上する。

[キーワード]
ウシ、バイオプシー、胚、ガラス化

[担当]
福岡農総試・家畜部・畜産工学チーム

[連絡先]電話092-925-5232	
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地(動物バイテク)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
性判別胚移植による雌雄産み分け技術は、目的とする性の産子を得ることが可能であり、特に酪農業において有効な技術と考えられる。バイオプシー胚の受胎率は、新鮮胚では通常の胚とほとんど差がないが、凍結後移植すると通常の凍結胚に比べて受胎率の低下が大きい。そこで、融解後の生存性が高い性判別胚保存技術の確立を図るために、最少容量での超急速ガラス化法の有効性について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 2種類のガラス化法を比較した結果、バイオプシー胚のガラス化・融解後の生存性は、GESX法がVSED法より高い傾向にある(図1)。

  2. ガラス化液GESXに浸漬する時間を、1分から30秒に短縮し、クライオトップを用い最少容量で超急速にガラス化することにより、バイオプシー胚の融解後の生存性が向上する傾向にある(図2)。

  3. 前処理を2段階(VS1:5分→VS2:5分)から1段階(VS1:5分)に簡略しても、性判別胚の融解後の生存性に影響しない(図3図4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 従来の凍結法では融解後の生存性が低い分割胚や細胞操作胚の保存法として活用できる。

  2. 超急速ガラス化法は、胚と共にシートに載せるガラス化液の液量を最少容量(1μl以下)に抑える。

[具体的データ]

図1 ガラス化法が融解後の生存性に及ぼす影響


図2 ガラス化法と超急速ガラス化法の比較


図3 平衡処理が融解後の生存性に及ぼす影響


図4 ガラス化液GESXによる超急速ガラス化法の手順

[その他]
研究課題名:乳牛胚の大量生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2003年度


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