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亜鉛欠乏飼料へのフィターゼの添加効果


[要約]
子豚期の亜鉛欠乏飼料にフィターゼを添加することにより、無機亜鉛を飼料に添加するのと同等の効果が得られ、フィターゼ500単位/kgは、1日増体重に対しては無機亜鉛14.7mg/kg、血清中亜鉛濃度およびアルカリホスファターゼ活性に対しては4.1mg/kgに相当する。

[キーワード]
子豚、亜鉛欠乏飼料、フィターゼ、血清中亜鉛濃度、ALP

[担当]
大分県畜産試験場・中小家畜部

[連絡先]電話0974-22-0673	
[区分]九州沖縄農研、畜産・草地(中小家畜)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
わが国の養豚業は飼養規模の拡大、専業化が急速に進み糞尿の排泄量が多くなっており、その有効利用が困難になりつつある。特に、発育促進等の目的で、要求量を超える銅、亜鉛が添加されている豚の堆肥は、他の家畜由来の堆肥に比べ、銅や亜鉛等の重金属含量が多く、土壌汚染の恐れから農地への還元が制限されつつあり、生産性の低下を招くことなく、重金属等の排泄量を低減させる技術開発が急務となっている。そこで、有機態リンの分解酵素であるフィターゼの無機亜鉛代替効果について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 血清中の亜鉛濃度およびアルカリホスファターゼ活性(ALP)は、亜鉛欠乏飼料(基礎飼料中に銅10mg/kg、亜鉛30mg/kg含有)へのフィターゼの添加量の増加とともに、直線的(一次回帰P<0.01)に増加する(図1図2)。

  2. 1日増体重は、フィターゼの添加量に対し2次の関係を示し(2次回帰P<0.01)で、700単位で最大となる(図3)。

  3. 亜鉛欠乏飼料に対するフィターゼ添加効果と亜鉛の添加効果との比較から、フィターゼ500単位/kgは、1日増体重を指標とした場合に無機亜鉛14.7mg/kgに相当し、血清成分(亜鉛濃度、ALP)を指標とした場合には4.1mg/kgに相当するという推定式が得られる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 豚用飼料への無機亜鉛の添加割合を少なくすることができる。

  2. 豚糞からのZn排泄量を少なくすることができる。

  3. 亜鉛欠乏飼料へのフィターゼ添加効果は、1日増体重に対して一定の添加量以上では認められない。

[具体的データ]

図1 血清中の亜鉛濃度に対するフィターゼおよび無機亜鉛添加の効果


図2 アルカリホスピターゼ活性に対するフィターゼおよび無機亜鉛添加の効果


図3 1日平均増体重に対するフィターゼおよび無機亜鉛添加の効果


表1 フィターゼ添加量の無機亜鉛相当量推定式

[その他]
研究課題名:豚からの環境負荷物質排泄量を低減するための栄養管理技術の開発
予算区分 :助成試験(地域新技術)
研究期間 :2001〜2003年度


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