福岡県におけるギニアグラス新品種「ナツコマキ」の播種期と最適播種量
- [要約]
- 細茎でロールベール適性が高いギニアグラスの新品種「ナツコマキ」を福岡県で栽培する場合、播種期は5月下旬より7月中旬のほうが適し、播種量1kg/10a程度を散播するとよい。
- [キーワード]
- 飼料作物、ギニアグラス、ナツコマキ、播種期、適播種量
- [担当]
- 福岡農総試・畜産環境部・飼料チーム
[連絡先]電話092-925-5177
[区分]九州沖縄農業・畜産草地
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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牧草の省力的収穫調製技術であるロールベーラ・ベールラッパ作業体系の普及に伴い、暖地型牧草であるギニアグラスの普及が期待されている。しかし、これまでのギニアグラスの品種は発芽、初期生育が劣るため、夏雑草との競合に弱く、また、太茎であるため収穫・調製作業も困難であった。近年、細茎でロールベール適性が高く、踏圧抵抗性にも強いギニアグラスの新品種「ナツコマキ」が育成され、平成14年にその飼料成分と消化特性を明らかにしている。しかし、福岡県における栽培特性については不明な点が多い。そこで、「ナツコマキ」の栽培特性を明らかにし、福岡県での播種期や最適播種量を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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「ナツコマキ」は「ナツカゼ」、「ガットンパニック」に比べ初期生育性が優れており、播種後1ヶ月で草丈が100cm程度に達する(図1)。
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7月播種に比べ、5月播種は1、2番草ともに収穫時の草丈は高くなるものの、茎数及び乾物収量は著しく減少し、雑草割合が大幅に増加する(表1)。
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播種量の増加に伴い、稈径は小さくなり茎数は増加する傾向にあるが、合計乾物収量には播種量の違いによる大きな差は認められない(表2)。このため、7月に播種する場合の播種量は1kg/10a程度で十分である。
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散播と条播を比べると、草丈は条播のほうが高くなるが、稈径は散播のほうが小さくなる傾向がみられる。一方、合計乾物収量には播種法の違いによる差はほとんどなく、7月に播種する場合、条播し中耕除草する効果は認められない(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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「ナツコマキ」を利用した作付計画を立てる際の参考として活用できる。
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耐湿性が強くないので圃場は排水に留意する。
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[具体的データ]
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図1 ギニアグラス品種別草丈の推移(2000年)

表1 ナツコマキの播種期別栽培特性(2002年)

表2 ナツコマキの播種量、播種法と栽培特性(2002年)
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[その他]
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研究課題名:平場の転作水田の利活用による自給飼料の周年利用作付体系技術の確立
予算区分 :国庫(先端技術)
研究期間 :2000〜2003年度
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