飼料イネ乾草の早期調製方法と飼料特性
- [要約]
- 飼料イネを出穂期に刈り取り乾草調製する場合、刈り取り機械にモアコンディショナーを利用すると短期間で調製できる。飼料イネ乾草に含まれるβーカロテン含量は稲ワラ並に減少する。糊熟期で乾草調製すると収穫ロスは若干多くなるが、出穂期よりTDN含量の高いものとなる。牛の嗜好性は稲ワラと同等である。
- [キーワード]
- 飼料イネ、乾草、調製、収穫期、βーカロテン含量、嗜好性、モアコンディショナー
- [担当]
- 熊本農研セ・畜研・飼料研究室
[連絡先]電話096-248-6433
[区分]九州沖縄農業・畜産草地
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
- 水田の多面的機能を活かした転作作物として、飼料イネが見直され近年生産が盛んになってきた。その形態としては、主に地域内で畜産農家と耕種農家が連携しホールクロップサイレージとして生産、利用することが一般的である。しかし、無家畜地帯の八代地域では、貯蔵に対する有利性と広域流通の必要性から乾草調製での生産が拡大しつつある。そこで、高品質で安定した生産と家畜への適切な利用を図るために、乾草調製における諸要因と飼料特性を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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出穂期の飼料イネを刈り取る機械にモアコンディショナー(フレールタイプ)を用いると、収穫ロスはモア利用時とほとんど変わらない(表1)。また、水分調整が1日短かくなり、より短期間で乾草調製できる(図1)。
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血中ビタミンA制御の肥育経営で注目されている粗飼料中のβーカロテン含量については、飼料イネ乾草調製時の間に、稲ワラ並に減少し保管の間も漸減する(図2)。
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飼料イネを乾草調製するとき糊熟期でモアを利用し刈取り収穫すると調製時のロス割合は高くなるが、飼料中TDN含量とTDN収量は高まる(表2)。
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飼料イネ乾草を肉用種育成牛に給与したところ、稲ワラと同等の採食量がみられ嗜好性に問題はみられない(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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飼料イネを稲ワラの代替として生産、利用する場合の指針として利用できる。
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糊熟期刈りのデータは茎葉タイプ品種のはまさりであるため、穂重タイプの品種では異なる可能性がある。
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糊熟期にモア刈りで収穫、乾草調製する場合は、脱粒防止のため天候が良ければ極力反転作業を控える。
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[具体的データ]
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表1 乾草調製時の主な結果

図1 材料水分と気温の推移

図2 乾草におけるβカロテン含量の推移

表2 各処理区における主な結果

表3 試験期間毎の採食量
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[その他]
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研究課題名:西南暖地における飼料イネの省力・低コスト生産利用技術の確立
予算区分 :国庫1/2(新技術地域実用化促進事業)
研究期間 :2000〜2003年度
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