飼料イネ乾草における飼料成分組成とβ-カロテン含量の経時的変動
- [要約]
- 天日架乾燥または簡易乾燥庫内で調製した飼料イネ乾草の飼料成分組成は、同じ熟期の暖地型牧草乾草とほぼ同程度であるが、TDNは10%ポイント低い。また乾草中のβ-カロテン含量は、保管後1ヵ月で半減し、その後はほぼ一定の数値で推移する。なお調製後2ヵ月以降のβ-カロテン含量は、稲ワラと同程度である。
- [キーワード]
- 飼料イネ乾草、飼料成分組成、β-カロテン含量
- [担当]
- 鹿児島畜試・飼料部
[連絡先]電話0995-48-2121
[区分]九州沖縄農業・畜産草地
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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飼料イネは湿潤地での栽培が可能であり、高温湿潤の気候を有する西南暖地での飼料安定生産に貢献すると期待される。しかし、飼料イネ乾草の、飼料品質や栄養価及び利用方法は明らかでない。そこで、飼料イネ乾草の利用方法を確立するため、熟期別に調製した飼料イネ乾草について、成分組成と保管期間中のβ-カロテン含量を検討した。
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[成果の内容・特徴]
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飼料イネ乾草は、熟期がすすむにつれて、粗蛋白質、DCP及びTDNは減少し、ADF及びNDFはやや増加する傾向にある(表1)。
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出穂前および出穂期刈り乾草を、暖地型牧草の代替として利用する場合は、TDNが約10%ポイント低いので、他の飼料でTDNを補って給与する必要がある。また、開花〜乳熟期刈り乾草は、稲ワラの代替飼料として利用可能である(表1)。
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出穂前及び出穂期刈り乾草の調製直後のβ-カロテン含量は、稲ワラより高い傾向にあるが、調製1〜2ヵ月後には稲ワラと同程度まで低下している。開花〜乳熟期刈りのβ-カロテン含量は調製直後から保管期間を通して、稲ワラの範囲内にある(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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西南暖地における飼料イネ乾草利用の指針として利用できる。
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本成果は家畜への給与の参考とはなるが、データ数がまだ少ないため、実際の給与に際しては飼料分析を行う必要がある。
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[具体的データ]
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表1 乾草中飼料成分組成

表2 乾草中β-カロテン含量
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[その他]
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研究課題名:西南暖地における飼料イネの省力・低コスト生産利用技術確立
予算区分 :国庫1/2(新技術地域実用化研究促進事業)
研究期間 :2000〜2003年度
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