Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成15年度目次

沖縄県における飼料作物の乾草・サイレージ調製保存中のβ-カロテン含量


[要約]
飼料作物の生草におけるβーカロテン含量は、生育が進むとβーカロテン濃度の低い茎部の構成割合が高まってくる結果、地上部全体におけるβ-カロテンの濃度が低下する。ロールベールサイレージでは、貯蔵期間が長くなるにともない減少する傾向がみられ、乾草では乾草調製時に急激に減少する。

[キーワード]
飼料作物、β-カロテン、ロールベールサイレージ、乾草調製

[担当]
沖縄県畜産試験場・飼料研究室

[連絡先]電話0980-56-5142	
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地(草地飼料作)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
沖縄県の肉用牛繁殖生産地域における代謝プロファイルテストで、血中のビタミンA値が低い事例がみられ繁殖率の低下が報告されている。ビタミンAの前駆物質はβ-カロテンであり、その大部分は粗飼料に由来する。そこで沖縄県で主に利用されている飼料作物の生草、サイレージ、乾草におけるβ-カロテン含量の消長について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. ギニアグラス「ナツユタカ」の器官別重量割合は、生育段階が進行するにつれ、葉部の占める割合が低くなり、茎部の構成比率が高くなる(図1)。

  2. 各器官におけるβ-カロテン濃度を比較すると、葉部で高く茎部で低い(表1)。以上のことから生育が進むとβ-カロテン濃度の低い茎部の構成割合が高まってくる結果、地上部全体におけるβ-カロテンの濃度が低下することがわかった。

  3. ロールベールサイレージにおけるβ-カロテン含量は、貯蔵期間の長期化にともない減少する傾向がみられる(図2)。

  4. パンゴラグラスの天日乾燥による乾草調製作業中のβ-カロテン含量は、原料草の311.1mg/DMkgから乾燥102時間で10.8mg/DMkgと急激に減少した(表2)。また乾草ロールベールの貯蔵期間中のβ-カロテン含量は、乾燥102時間の10.8mg/DMkgから貯蔵12週で2.7mg/DMkgと緩慢に減少する(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 沖縄県において自給粗飼料を給与した場合のβ-カロテン摂取量の目安になる。

  2. 予乾調製時に急激にβ-カロテン含量が減少することから、サイレージの給与にあたっては予乾調製と貯蔵期間中のβ-カロテン含量の減少を考慮する必要がある。

[具体的データ]

図1 ギニアグラスの生育段階別の器官構成比


表1 ギニアグラス生育段階と器官別のβーカロテン濃度


図2 ロールベールサイレージ貯蔵期間中のβ-カロテン含量の推移


表2 パンゴラグラスの乾草調製および貯蔵期間中のβ-カロテン含量の推移

[その他]
研究課題名:乾草・サイレージ調製におけるβ-カロテン含量の消長
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2003年度


目次へ戻る