分娩前移行期の高蛋白水準飼料給与による産乳性の向上
- [要約]
- 経産牛の分娩前移行期に高蛋白水準(CP15%)飼料を給与すると、産乳性の向上が見られるが、繁殖成績は、標準蛋白水準(CP12%)飼料を給与する方が良好である。
- [キーワード]
- 移行期、蛋白、産乳、ホルスタイン種、経産牛、乳用牛
- [担当]
- 熊本農研セ・畜産研・大家畜研究室
[連絡先]電話096-248-6433
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(乳牛)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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[成果の内容・特徴]
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移行期の飼料中CP含量が、乳牛の産乳性と繁殖性に及ぼす影響について全国10場所で70頭の乳牛を用いて2年間の反復試験を行った。試験期間は分娩9週前から分娩14週後までとした。処理区を移行期だけに設けて、飼料中CP含量を12.7%(CP12%区)と15.3%(CP15%区)の2区とした。
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乾物摂取量:乾物摂取量は、試験期間を通して両区に差は見られない。
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産乳成績(分娩後14週間):CP12%区およびCP15%区における平均日乳量は、それぞれ38kgおよび40kgとなり、CP15%区で有意に増加する。乳成分については両区に差はみられない。(表1、図1)
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泌乳期において体重の回復はCP12%区よりCP15%区の方で遅い傾向にあり、産乳量の差が影響したと思われる。
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繁殖成績(20週間):繁殖成績では、授精回数及び受胎率はCP12%区で良好な成績がみられた。(表2)
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[成果の活用面・留意点]
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移行期の高蛋白は分娩後の泌乳量の増加が期待できるが、その分体重の回復が遅れ繁殖に影響を与えることから分娩後は泌乳量に見合うエネルギー充足が必要である。
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[具体的データ]
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表1 飼料成分(TMR・DM中)

図1 乳量の推移

表2 繁殖成績(分娩後20週間)
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[その他]
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研究課題名:分娩前後の飼養法の検討
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2003年度
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