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TDN充足率が排卵同期化・定時人工授精の成績に影響する


[要約]
泌乳牛において、分娩後60日以降にOVSYNCH/定時AIを行う場合、分娩後7週次のTDN充足率が90%以上であれば、90%未満の場合と比べて、授精回数が1.2回低減でき、分娩間隔は50日短縮する。

[キーワード]
乳用牛、OVSYNCH、定時AI、TDN充足率、授精回数、分娩間隔

[担当]
福岡農総試・家畜部・乳牛チーム

[連絡先]電話092-925-5232	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(乳牛)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
泌乳牛の能力は、急速な育種改良により年々向上している。その一方で、分娩間隔の長期化、平均産次の低下、生涯生産性が問題視されている。分娩間隔の長期化の要因として、泌乳牛の発情の微弱化・発情時間の短縮、授精適期の見逃し等が挙げられ、その対策に様々な発情誘起技術が検討されている。中でも、近年開発された排卵同期化・定時人工授精法(以下、OVSYNCH/定時AI)は、自然発情と同等の受胎率が得られることが報告されており、有望な技術と考えられる。しかし、栄養充足状態がOVSYNCH/定時AIの繁殖成績に及ぼす影響については、明らかとなっていない。そこで、泌乳牛の分娩後におけるTDN充足率が、OVSYNCH/定時AIでの繁殖成績に及ぼす影響について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 泌乳牛の繁殖管理において、分娩後60日以降のOVSYNCH/定時AI(図1)により、無処理と比べて、受胎に要する授精回数が1.0回低減でき、分娩間隔は20日間短縮する(表1)。

  2. OVSYNCH/定時AIを行う場合、分娩後7週次のTDN充足率が90%以上であれば、90%未満の場合と比べて、授精回数が1.2回低減でき、分娩間隔は50日短縮する(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. OVSYNCH法による空胎期間の短縮技術として活用できる。

  2. OVSYNCH処置は獣医師に依頼し、休薬期間等はその指示に従う。

[具体的データ]

図1 OVSYNCH/定時AIプログラム


表1 OVSYNCH/定時AIによる繁殖成績(2000〜2002年度)


図2 OVSYNCH/定時AI処理牛におけるTDN充足率の推移


表2 TDN充足率がOVSYNCH/定時AIにおける繁殖成績に及ぼす影響(2000〜2002年度)

[その他]
研究課題名:ホルモン投与による分娩間隔短縮技術
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :2000〜2002年度


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