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牛における観血去勢法はゴム去勢法より増体する


[要約]
黒毛和種子牛の観血去勢法とゴム去勢法では、去勢後8週間の飼料摂取量に差は認められないものの、DGでは観血去勢法のほうが多い。

[キーワード]
肉用牛、子牛、観血去勢法、ゴム去勢法

[担当]
沖縄県畜産試験場・大家畜研究室

[連絡先]電話0980-56-5142	
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
肥育素牛にする雄子牛は、肉質の向上と群管理の容易性から生後3から4ヵ月のうちに去勢を施すのが一般的である。しかし、去勢によるストレスのため、飼料摂取量の低下や発育の停滞が危惧される。現在、子牛の去勢法として無血去勢法(精系挫滅法)、観血去勢法さらにゴムリングによる去勢法が知られている。各々特徴を備えた去勢法であるが、ゴムリングによる去勢法は去勢の所要時間は短く処置も容易である反面、去勢後5〜7日でほとんどの組織が壊死し、睾丸が自然に脱落するには通常約8週間を要し、その間多少に関わらずストレスが加わると考えられる。また、観血去勢法との飼料摂取量および体重の推移の比較検討はなされてない。そこで、黒毛和種子牛を観血去勢法を実施した観血区と、ゴムリングによる去勢法を実施したゴム区に分け、去勢後8週間までの発育等に及ぼす影響について検討する。

[成果の内容・特徴]
供試牛は当場で出生した黒毛和種雄子牛で、試験開始時日齢が100日齢程度の7頭を用いた。飼養管理は単飼牛房で、濃厚飼料とバミューダ乾草を混合したTMRを給与した。観血去勢法は陰嚢底部を鋏で切除し、固有鞘膜を剥離後、精巣の血管を結紮せずに手で引き抜いた。また、ゴム去勢法は去勢用器具(イージーカット・DC、デンカ製薬)を用いて広げたゴムリング(ゴムリング・D、デンカ製薬)に睾丸を通し、陰嚢上部にはめたまま放置し、睾丸が自然に壊死・脱落するのを待った。試験は去勢日から14日目までを[I]期、以降14日ごとに[IV]期まで設け、4区の期ごとそれぞれの方法で去勢後8週間の飼料摂取量、体重および去勢後107日目の体重を比較した。

  1. 去勢後の飼料摂取量は両去勢法とも増加し、その増加割合も同程度で有意差は認められない(表1)。

  2. 去勢後8週間の体重の推移では、各期において観血去勢法がゴム去勢法より増体が良く、去勢後8週間の平均DGは観血区で0.91、ゴム区で0.79であったが有意差は認められない。また、去勢後107日目の体重も観血区のほうが若干優れているが両区で有意差は認められない(表2図1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 去勢後8週間の増体は観血区のほうが多いことから、観血去勢法によるストレス低減が示唆された。

  2. 去勢日から去勢後107日目までの増体量は観血区のほうが優れていることから、子牛セリ出荷時の価格でも観血去勢法はゴム去勢法より上回ることが示唆された。

  3. 観血去勢法およびゴムリングによる去勢法とも、術後の衛生管理が必要である。

[具体的データ]

表1 去勢法の違いによる1日1頭あたりの飼料摂取量(DM・kg)


表2 去勢法の違いによる体重の推移(kg)


図1 各期におけるDGの推移

[その他]
研究課題名:子牛育成及び繁殖向上技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1997〜2003年度


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