マルチトール給与による肉用鶏の脚骨強化技術
- [要約]
- 肉用鶏の飼料体系に全期間2%マルチトール添加した飼料を給与すると、メス鶏脚骨の破断強度が向上する。また、生産指数や食味では慣行飼料給与と差がない。
- [キーワード]
- ニワトリ、肉用鶏、マルチトール、脚骨、強度、生産指数、食味
- [担当]
- 長崎畜試・中小家畜科
[連絡先]電話0957-68-1135
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地(中小家畜)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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肉用鶏生産現場では、出荷やと殺時に脚骨が骨折することがあり、鶏肉品質劣化の原因となっている。一方、糖アルコール物質のマルチトールを、ラットに給与した試験では、カルシウム吸収促進効果が報告されている。そこで、肉用鶏用飼料に飼育全期間マルチトールを2%添加する給与試験を行い脚骨の強度や生産性、食味に及ぼす影響について検討する。
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[成果の内容・特徴]
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マルチトール2%添加区(MT2%区)の脛骨の破断強度は42日齢時点で、対照区より有意に向上する(表1)。
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肉用鶏の生産性に関する項目について、期間中の育成率、累積飼料消費量、飼料要求率、終了時体重、生産指数(PS)ともに差はなく慣行の体系と同等の生産性が確保できる(表2)。
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55日間飼育した肉用鶏は生産された肉の食味に差はない(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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肉用鶏の骨折防止を図る場合の基礎資料として活用できる。
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純度の高い粉末のマルチトール(純度99.9%以上)は500円/kgであり、使用にあたっては生産コストが上昇するため、高純度粉末の約半額のシロップ状マルチトール(純度70%)を使用することも検討する必要がある。
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[具体的データ]
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表1 42日齢時点の脛骨の破断強度エネルギー及び骨密度

図1 MD法による骨密度解析に用いた軟X線写真(左大腿骨、右脛骨)

表2 ブロイラーの生産性(2003年3月19日〜5月13日)

表3 食味検査
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[その他]
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研究課題名:マルチトール飼料添加が採卵鶏および肉用鶏に及ぼす影響調査
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2003年度
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