ランドレース種新系統豚「ヒゴサカエ302」の造成
- [要約]
- 閉鎖群育種集団に対する総合育種価選抜によって造成したランドレース種雌型系統「ヒゴサカエ302」は、産肉能力、繁殖能力および強健性に優れる。
- [キーワード]
- 総合育種価、ランドレース種、繁殖能力、強健性、雌型系統
- [担当]
- 熊本県農業研究センター・畜産研究所・中小家畜研究室
[連絡先]096-248-6433
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地
[分類]技術・参考
-
[背景・ねらい]
-
交雑肉豚の元となる純粋種は、独立淘汰による個体選抜に頼っていたため遺伝的変異が大きく、交雑能力にもばらつきがみられ、斉一性を備えた、低価格で、高品質かつ安全な豚肉が求めることから、LWD3元交雑肉豚の基礎となる繁殖性と強健性に優れる新しいランドレース種雌型新系統豚を造成する。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
ランドレース種閉鎖群育種集団に対し、産肉能力、繁殖能力および強健性に対する、7世代8年にわたる選抜を実施した新系統豚の、体重30〜105kgにおける1日平均増体重は900g以上で、交雑肉豚における出荷日数を短縮できる(表1)。
-
新系統豚の背脂肪厚はおよそ1.7cmで、交雑母豚のほ乳能力に影響を与えることなく、肉豚における枝肉上物率の向上が期待できる(表1)。
-
新系統豚の1腹総産子数は、初産時で11頭を越え、交雑母豚における年間出荷頭数を増加できる(表1)。
-
新系統豚の肢蹄は強く、交雑母豚における事故淘汰率の減少が期待できる(図2)。
-
集団の血縁・近交係数は順調に推移し、斉一性の高い枝肉が期待できる(図3)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
新系統豚の能力は、他品種系統間の交配によって最大に発揮されることから、中雄(大ヨークシャー種等)や止雄(デュロック種等)の選定に当たっては、今後公表される系統間組合せ検定結果に留意すること。
-
新系統はSPF状態で造成されているが、馴致により、一般農場においても飼養できる。
-
[具体的データ]
-

図1 「ヒゴサカエ302」の雄と母豚

表1 新系統豚「ヒゴサカエ302」の能力

図2 肢蹄評価の遺伝的趨勢

図3 近交・血縁係数の推移
-
[その他]
-
研究課題名:ランドレース種新系統豚の造成
予算区分 :県単
研究期間 :1995〜2002年度
目次へ戻る