地中海型トールフェスクは既存品種より家畜の嗜好性に優れる
- [要約]
- 地中海型トールフェスクの放牧における採食時間は既存品種より長い。家畜による嗜好性は春、秋を通して良好である。
- [キーワード]
- トールフェスク、地中海型、嗜好性、放牧、飼料作物育種
- [担当]
- 九州沖縄農研・畜産飼料作研究部・牧草育種研究室、上席研究官
[連絡先]電話096-242-7754
[区分]九州沖縄農業・畜産草地、畜産草地
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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トールフェスクは西南暖地の中・高標高地の改良草地で基幹草種として利用されているが、他の寒地型牧草に比べて家畜の嗜好性や消化性に劣ることが指摘されいる。その一方で、トールフェスクにはいくつかのエコタイプが存在し、その一つである地中海型は我が国の既存品種と比較して病害抵抗性、早春の生育や晩秋以降の緑度維持能力に優れることが注目されている。そこで、地中海型トールフェスクについて家畜の嗜好性を明らかにし、今後の活用への可能性を示す。
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[成果の内容・特徴]
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地中海型トールフェスクの放牧における採食時間は、春と秋を通して既存品種より長い(表1)。
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地中海型トールフェスクの放牧後の残食量は既存品種より少なく、家畜の嗜好性は高い(写真1)。
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春、秋の放牧における採食程度は既存品種よりも高く、春と秋を通して家畜の嗜好性は優れており、春にその傾向が強い(図1、表1)。
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地中海型トールフェスクは、春1番草において既存品種に比べて網斑病などの罹病程度が小さく、乾物消失率が高い傾向にある(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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地中海型トールフェスクはトールフェスク育種における嗜好性の改良に活用できる。
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現段階では、トールフェスクの地中海型品種は我が国では流通していない。
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地中海型トールフェスクには、越夏前の利用頻度を減らす等の既存品種と異なる栽培管理が必要である。
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[具体的データ]
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表1 放牧試験における各系統の採食時間の比較1)

写真1 春の放牧後の残食量

図1 春と秋の採食程度の推移

表2 春1番草における各系統の生育特性1)
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[その他]
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研究課題名:暖地における消化性・採食性に優れる新型トールフェスクの育成
課題ID:07-04-04-*-10-03
予算区分 :21世紀プロ6系、ブラニチ3系
研究期間 :2001〜2003年度
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