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泌乳初期の第一胃培養液中のエンドトキシン濃度の特性


[要約]
泌乳初期の第一胃液を乳酸発酵させると、初産牛は経産牛よりも酸性になりやすく、蹄疾患の誘因となるエンドトキシンを作りやすい。

[キーワード]
乳用牛、蹄疾患、エンドトキシン

[担当]
福岡農総試・畜産環境部・環境衛生チーム

[連絡先]電話092-925-5177	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(乳牛)	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
乳牛の産乳性を高めるには、泌乳初期の栄養不足を解消することが重要である。その一方で、濃厚飼料を多給した乳牛の第一胃液は、プロピオン酸や乳酸の濃度が高まることで酸性となり、このことが、蹄疾患の引き金となる第一胃液中の細菌毒素「エンドトキシン」の濃度を高める。しかし、泌乳初期の飼料内容の違いが第一胃内のエンドトキシンの生成に及ぼす影響については明らかにされていない。そこで、泌乳初期の初産牛と経産牛に粗濃比、TDN等の異なる2種類の飼料を与え、採取した第一胃液を乳酸発酵させた第一胃培養液中のエンドトキシン濃度を比較する。

[成果の内容・特徴]
  1. 初産牛の第一胃培養液は、乳酸濃度が経産牛よりも高くpH値が低く推移することから、経産牛よりも酸性になりやすく、蹄疾患の引き金となるエンドトキシンを作りやすい(図1)。

  2. TDN77%の飼料を与えた初産牛の第一胃培養液のエンドトキシン濃度は、TDN74%の場合よりも高く推移することから、初産牛の第一胃液はTDN含量が高く粗飼料割合の低い飼料を与えると、エンドトキシンを作りやすくなる(表1図2)。

  3. 経産牛の第一胃培養液のエンドトキシン濃度は、飼料内容の違いによる差が少ないので、経産牛の第一胃液は初産牛よりもエンドトキシンを作りにくい性質であることを示唆する(表1図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 第一胃の代謝異常と蹄疾患の関係を検討する資料として活用できる。

  2. 初産牛の分娩後の飼養内容を検討する時の参考となる。

[具体的データ]

図1 初産牛と経産牛の第一胃培養液の性質(12〜14年度)


表1 試験用TMR飼料の配合割合(乾物中%)


図2 異なる飼料内容での第一胃培養液のエンドトキシン濃度(12〜14年度)

[その他]
研究課題名:蹄疾患の発生状況と病態生理学的原因の究明
予算区分 :県単		
研究期間 :2002年度(2000〜2002年)


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