黒毛和種早期親子分離が子牛のハンドリングに及ぼす影響
- [要約]
- 黒毛和種において早期親子分離を行うことにより、子牛のハンドリングが高まる。
- [キーワード]
- 早期親子分離、ハンドリング
- [担当]
- 長崎畜試・大家畜科
[連絡先]電話0957-68-1135
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
- 家畜の取扱い易さ(ハンドリング)は管理者にとって重要な問題であり、ハンドリングの向上により捕獲作業時等に安全で効率的な作業が期待できる。近年、黒毛和種繁殖農家において早期親子分離技術が普及しつつあり、管理者と子牛とが密接に接触することでハンドリングが向上すると考えられるが、ハンドリングを数値化した報告はあまり見られない。そこで、黒毛和種早期親子分離が子牛のハンドリングに及ぼす影響を調査する。
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[成果の内容・特徴]
- ハンドリング調査方法
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- 忌避反応:家畜体の左約60度の方向から近づき、供試牛の首・腹・背・尾の部位に触れ、忌避反応をポイント化したタッチテスト(ポイント3:ほとんど反応しない2:やや反応する1:強く反応)。
- 心拍数:忌避反応調査直後に測定。
- 逃避反応距離:測定者(同一人物)が供試牛の前方から一定の速度で静かに近づき、供試牛が逃避を開始した地点と測定者のつま先との距離を測定。
- 哺乳バケツに対する反応:哺乳バケツを利用し、供試牛の反応をポイント化(ポイント3:バケツの乳首から飲水可能2:バケツの乳首を口に含むが飲水不可能1:バケツに興味を示すが乳首を口に含まない0:全く興味を示さない)。
- 早期親子分離区(n=19):当場生産・管理自然哺乳区(n=11):2農場生産・管理
- 早期親子分離した子牛は自然哺乳子牛に比べ、忌避反応は生後3ヶ月齢まで弱く、その後は両区に差は見られない(図1)。
- 早期親子分離した子牛は自然哺乳した子牛に比べ、管理者と接した場合の心拍数は全期間を通して低くなる(表1)。
- 早期親子分離した子牛は自然哺乳した子牛に比べ、逃避反応距離は生後5ヶ月齢まで有意に短くなる(図2)。
- 早期親子分離した子牛は育成期間中哺乳バケツから飲水可能であり、バケツから飲水させることで薬剤の経口投与時の低労力化が期待できる(図3)。
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[成果の活用面・留意点]
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早期親子分離子牛のハンドリングを改善する場合の参考となる。
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生後3ヶ月以降のハンドリング調査方法の検討。
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[具体的データ]
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図1 忌避反応

図2 逃避反応距離

表1 心拍数

図3 早期親子分離した子牛の哺乳バケツに対する反応
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[その他]
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研究課題名:肥育素牛の放牧育成に関する研究
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2005年度
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