シコリ発症牛の血中ビタミンA濃度,飼料摂取量および血液性状
- [要約]
- シコリ発症牛では、肥育前中期に血中ビタミンA(VA)濃度が低く、肥育中期の血中VA濃度低下時の飼料摂取量および血中のアルブミン(ALB)、総タンパク質(TP)、総コレステロール(T-CHO)、Ca、Na、K、Clは低下する。これらは、ズル発症牛と類似している。
- [キーワード]
- 肉用牛、シコリ、血液性状
- [担当]
- 鹿児島畜試・肉用牛部
[連絡先]電話0995-48-2185
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(肉用牛)
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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近年、枝肉の価値に影響するシミ、ズル、シコリ等の瑕疵発生割合が増加し、問題となっている。シコリは、一見すると脂肪交雑の進んだ状態に見えるが、シコリ部分は固いため廃棄され枝肉単価に大きく影響する。また、シコリの原因については不明な点が多く、現段階では明らかになっていない。そこで、シコリと判定された3頭と正常牛5頭の保存血液を用い、血中VA濃度、飼料摂取量、血液生化学的検査について調査し、シコリ発生の要因を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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供試牛8頭については、肥育期間18ヶ月(7〜24ヶ月齢)とし、飼料を含めた飼養管理方法は同一であり、肥育中期(13〜21ヶ月齢)にVAコントロールを実施している。
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シコリ発症牛の血中VA濃度は、非発症牛と比較して肥育前期および中期において有意に低い時期(P&st;0.05)がある(図1)。
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シコリ発症牛の濃厚飼料摂取量は、非発症牛と比較して血中VA濃度低下時期に有意に低下(P&st;0.01)している(表1)。
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シコリ発症牛は非発症牛と比較して、血中VA濃度低下時期に総タンパク質(TP)、総コレステロール(T-CHO)が有意に低下(P&st;0.05)しており、アルブミン(ALB)が低下傾向(P<0.1)を示している(図2、図3、図4)。
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また、同時期に、Ca、Na、K、Clが低下する傾向が見られる(図5、図6、図7、図8)。
これらの結果は、甫立らの「ビタミンA欠乏による筋肉水腫(ズル)の発症機構」に関する報告のなかで示しているズル発症牛の血中VA濃度、飼料摂取量および血液性状の結果と類似している。
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[成果の活用面・留意点]
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枝肉の瑕疵(シコリ)低減技術の参考になる。
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[具体的データ]
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図1 血中VA

図2 ALB

図3 TP

図4 T-cho

図5 Ca

図6 Na

図7 K

図8 Cl

表1 濃厚飼料摂取量
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[その他]
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研究課題名:シコリ発生要因の解明
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2005年度
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