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ダイレクト法による凍結レシピエント卵子を用いた牛体細胞核移植


[要約]
未成熟及び成熟卵子をダイレクト法で凍結保存し、レシピエント卵子として体細胞核移植に用いた結果、卵子の生存率は成熟卵子が有意に高く、また核移植による発生率は凍結を行わない卵子に比べ有意に低いが、移植可能な胚盤胞の作出は可能である。

[キーワード]
レシピエント卵子、ダイレクト法、凍結保存、体細胞核移植

[担当]
長崎畜試・大家畜科

[連絡先]電話0957-68-1135	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(動物バイテク)	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
牛核移植に用いるレシピエント卵子を確保するためにと畜場で卵巣を採材しているが、と畜場までの往復に長時間を要し、また雌のと畜頭数が少ない等、十分な卵巣を確保するのに制約がある。そこでレシピエント卵子の保存方法としてダイレクト凍結保存法を検討し、その生存性及び体細胞核移植による発生成績について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 卵子を未成熟のまま凍結する未成熟区と22時間成熟培養後凍結する成熟区および新鮮卵子を凍結せずに用いる対照区を設定し、体細胞核移植の発生成績を比較した(図1)。凍結液は5%エチレングリコール、6%プロパンダイオール、0.1Mシュークロースを耐凍剤とし、20%FBSを添加したmPBSをベースとし、卵丘細胞が付着した状態で、0.25mlストローに20個程度つめ、緩慢冷却法により凍結保存した。

  2. 卵子の生存率は、未成熟区(51%)が他区に比べ有意に低く、また成熟区(67%)も対照区(96%)に比べ有意に低い。成熟率は、未成熟区(50%)が対照区(56%)に比べ有意に低い(表1)。

  3. 核移植成績では、除核率は成熟区(71%)が対照区(82%)に比べ有意に低く、融合率は未成熟区(52%)、成熟区(49%)とも対照区(68%)に比べ有意に低い。移植可能な胚盤胞の発生率は未成熟区(12%)、成熟区(11%)とも対照区(28%)に比べ有意に低い(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 核移植において、時間的な制約が軽減できる。

  2. 生存率、胚盤胞発生率を考えると多数の卵子の確保が必要である。

[具体的データ]

図1 卵子採取から核移植までの過程


表1 卵子の生存率および成熟率


表2 核移植成績

[その他]
研究課題名:牛の核移植技術
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2003年度


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