堆肥利用に関する野菜農家のニーズ
- [要約]
- 野菜農家が堆肥を選ぶ条件は、第一に腐熟度で、価格、副資材と続き、畜種別には肉用牛、副資材別にはモミガラで完熟堆肥を求める意向が強い。堆肥利用上の問題点は腐熟度と散布作業が半数を占め、散布サービスへの委託希望が強い。
- [キーワード]
- 家畜ふん尿、堆肥、ニーズ、腐熟度、散布サービス
- [担当]
- 長崎畜試・環境保全プロジェクトチーム
[連絡先]電話0957-68-1135
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(中小家畜・畜産環境)
[分類]行政・参考
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[背景・ねらい]
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堆肥の適正な生産・流通は地域環境に対する負荷等の観点から畜産農家および耕種農家にとって大きな課題であり、その連携を図ることは重要である。畜産農家にとっては家畜排せつ物法が施行され、堆肥化施設の整備が進む中、生産堆肥の流通量が増加することを考慮すると、耕種農家のニーズに即した堆肥生産がますます重要になる。そこで耕種農家の堆肥に対する意向と課題の把握を目的にアンケート調査を行い、家畜ふん堆肥の利用促進について検討する。
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[成果の内容・特徴]
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有明町を中心とする島原半島内の野菜農家68戸に聞き取り調査を行った結果、使用する堆肥に求められる条件は、腐熟度、価格、副資材の種類、畜種の順となっており、畜産農家は堆肥の流通促進のために腐熟度の高い堆肥を低コストで生産する必要がある(表1、表2、表3)。
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野菜農家が堆肥を利用する上で問題になるのは腐熟が不十分なことと散布作業の割合が高く、これらを解決すれば堆肥の利用促進が期待できる。特に散布作業についてはデータに示さないが、81%が手作業で行っており、散布サービスへの委託希望が65%あることから、散布サービス組織の創設、充実が重要であると思われる(表4)。
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野菜農家が希望する堆肥散布サービスについては堆肥金額に上乗せする価格として9割程度の農家が3,000円(2t車1台当たり)を上限としている。(表5)
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[成果の活用面・留意点]
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耕種農家特に野菜農家のニーズに対応した堆肥生産を行う上で参考となる。
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[具体的データ]
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表1 調査方法

表2 ほしい堆肥を決める基準

表3 ほしい堆肥の条件

表4 堆肥利用上の問題点

表5 野菜農家が希望する堆肥散布サービスの金額(2t車1台当たり)
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[その他]
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研究課題名:環境保全的排泄物処理・利用システムの確立
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2002年度
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