Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成15年度目次

「させぼ温州」の早期樹冠拡大のための新しょう管理法


[要約]
植え付け1年目は、主枝候補枝の頂芽を1本のみに芽かきして支柱に誘引し枝の伸長を促す。2年目は、発芽前に充実した秋枝の外芽で切り返し、主枝は2〜3本とした上で、前年枝から発生する新しょうを20センチ間隔程度(3〜5本)に整理して側枝とする。3年目は樹全体に新しょうを発生させることで、樹容積が拡大し、早期に樹冠拡大を図ることができる。

[キーワード]
ウンシュウミカン、頂芽、芽かき、主枝、樹冠拡大、樹容積

[担当]
長崎果樹試・常緑果樹科

[連絡先]電話0957-55-8740	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
「させぼ温州」は、発生する芽数が多く従来の品種のような開心自然形を目指した幼木管理では樹冠の拡大が遅れる。そこで、苗木を植え付けた場合に早期に樹冠拡大を図るための新しょう管理法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 植え付け1年目の主枝候補枝の伸長は、頂芽を1本のみにして生育させた区(芽かき強区)が最も大きく、また夏枝を多くつけた区ほど枝の伸長は劣る(表1)。

  2. 主枝の伸長を促すための発芽前の主枝先端切り返しは、充実した秋枝部分(外芽)で切り返した方が2年間の総主枝長が大きい(データ省略)。

  3. 側枝の制限処理をした1年後は、側枝無し区の主枝長が最も長いが2年後以降の差はない。主幹径、葉数は、側枝有区が大きい。3年間育成した幼木の樹容積は、側枝20センチ間隔区が最も大きい(表2)。

  4. 側枝有り区は、植え付け4年目に20キログラム以上の収量が確保される(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 植え付け2年目に主枝候補枝に側枝をつけるためには、植え付け1年目に主枝長を1メートル程度に伸長させておく必要がある。

  2. 植え付け2年目には、主枝の伸長を促すため主枝以外の同年枝は除去する。

  3. 3年目には、樹全体に新しょうを発生させるが、優良な結果母枝を育成するために、秋期にはマルチ等を行い秋芽の発生を抑制することで翌年の着花を促進を図る。

[具体的データ]

図1 「させぼ温州」の早期樹冠拡大法図解


表1 「させぼ温州」1年生苗に対する芽かき程度が枝の伸長に及ぼす影響(1999)


表2 「させぼ温州」側枝の発生程度と樹容積の年次別推移(2000〜2002)

[その他]
研究課題名:「させぼ温州」の早期樹冠拡大と高品質果安定多収技術
予算区分 :県単(平成11〜15年)
研究期間 :1999〜2002年度


目次へ戻る